わたしの願い事

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後ろを確認せずに下がったシアが、同い年くらいの男の子とぶつかってしまった。



「うわぁ、飲み物服に溢れちゃったよ」

「ご、ごめんなさい」

「いや、いいんだけど気をつけてよ…ね？…きみかわいいね」

「え？」

「もし良かったら連絡先教えて欲しいな」



悪い人ではなさそうだけど…



「あ、でも」



シアは明るくてかわいくて、普段はイケメンにきゃあきゃあしてるけど、実は少し人見知りだ。共通点があるなら割と話せるけど、見ず知らずの人だとご覧の通り、言葉も動きも止まってしまう。



「シア大丈夫？あのすみませんでした。代わりの買ってくるんで、それで許してもらえませんか」

「彼氏持ちとか？それならお友達の連絡先でもいんだけど、」



かわいくもない私は、『のでも』って言われるのにも慣れている。誰も気にしていないような言葉のあやなんだけどね。慣れてるって言いながら気にしてるよね。




「あれ？ソンイ？」




聞きごごちのいいこの声は、振り向かなくてもわかってしまう。


「ソンイだよね？久しぶり！」




やっぱり来てたんだ。



「テレ」





状況が読めないであろう場面からの合流なのに



「大丈夫？なんかあった？」



心配の一言から始まる。テレはそんな優しい子だ。

テレを見て、気まづさを感じたのか、その場を離れてく男の子に少しだけ申し訳なさを感じるが、どうせ会うのは最初で最後だろうと気にしないことにした。



「テレありがとう。久しぶり」

「とんでもない！困ってたんなら助けになれて良かったよ」

「ソンイごめん。シアがはっきり断れなくて」

「ううん。ああゆう時っていきなり言葉出てこないよね」



できるだけシアの方を向いて、できるだけこの場をやりすごしたかったけど



「ソンイありがとう。えっと…知り合い？見たことある気が」



そりゃ気になるよね。



「こちらキム･テレ。同じ中学だったの」

「初めまして。同じ高校かな？僕1組なんだ」

「初めまして、イム・シアです。ソンイと同じ3組なの」

「そうなんだ！じゃあハンビンとも同じ…「テレ！！そろそろ私たち行かなきゃ。歌出るの？頑張ってね」

「あ、うん。そしたらまた」




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