snow touch

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『え、その…その好きって…え…それって…』
てっきりもうバレてるんだろうなと思ってた気持ちは
届いてなかったらしい。

困惑したように目がぱちぱちと動く。


「恋愛感情として、好き、だよ…
　気付いて俺のこと避けてたんじゃないの…？」

『いや、違うよ…そっか…』

そうだったんだ、
なんて、笑った顔は優しくて。
あべちゃんが俺の頭をふわっと撫でた。


状況が理解できない。



『え、でもちょっと待って。
…恋人…いたんじゃないの？』

「は？」
話の展開も見えない。


「いや…いないけど…」
『だって！！！』
「なに？」
『歯ブラシ…』
「歯ブラシ？」
『…洗面所に…この前来たときは
　2本置いてあったじゃん…』
「歯ブラシなんか…あー…ラウールが置いてったのかな？もう捨てちゃった気がするけど」


記憶を辿る。
ここ1〜2ヶ月で泊まってったのはラウールくらいだ。
このご時世で、撮影もあるし、
極力人には会ってない。
ラウールだってそんなしょっちゅう来るわけでもないし、
まぁいっかと思って捨てた気がする。

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