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#3 カフェ ページ4

退去命令を告げられた日から2週間が経過した。
あれから暇を見つけては不動産サイトを見ているが、中々気に入るところがなく、スクロールばかりする日々を送っていた。
時間が無いとは言いつつもちゃんと選びたい。
なんてったって、私にとって家は最高の癒し空間。
簡単に決められるようなものではない。
とはいえ、期限は迫ってくるばかりであった。

『気分転換にカフェでも寄ろうかな』

ここ最近、家のことばかりで煮詰まっていた私は近所にある人気のカフェに入ることにした。
可愛らしいお姉さんが「いらっしゃいませ」と出迎えてくれた。

窓際の席に案内され、メニューを軽く見た後アイスコーヒーとミルクレープを注文。
商品が来るまでぺらぺらとメニュー表をめくると、後ろの方にとんでもない名前のスイーツたちが紹介されている。
〈ラブラブポーション大ちゅきチョコたん〉、〈お姫様抱っこでラブリーキス〉、〈きゃぴるんにゃんにゃん大しゅきしゅきホールドケーキ〉………誰だこの名前考えたやつ!
注文する時恥ずかしいやつじゃんこれ。

「追加の注文いいですか?」

「はい!お伺いします」

「ラブラブポーション大ちゅきチョコたん、お姫様抱っこでラブリーキス、きゃぴるんにゃんにゃん大しゅきしゅきホールドケーキ下さい」

えーーーーーーーーー!!!!
ちゃんと正式名称で注文してる子いる!凄いな君!
私だったら恥ずかしくて言えないかもしれない。

隣の席に座っている若い男の子が、とてつもなくラブリーな商品たちを真顔で注文している。
店員さんが席を離れると、既にテーブルにある別のスイーツをもくもくと食べ始ていた。

男の子に関心していると、私のテーブルにもアイスコーヒーとミルクレープが運ばれてきた。
一旦家のことは頭の片隅に置いて、今は目の前のスイーツを楽しもう。

「ありがとうございましたー!」

ゆっくりスイーツを楽しんだ私はお金を支払い、お店を出る。
家に帰ろうかと思っていると、目の前に先程の男の子が歩いていた。
さっきの子だ、と思っていた時、彼のポケットから財布が落ちた。
ボトッ、と音がしたが彼はその事に気付いていないようだ。
そのまま歩くスピードを変えず進んで行ってしまったので、私は少し早歩きをして財布を拾い彼の肩を軽く叩いた。

#4 お財布→←#2 失う



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作者名: | 作成日時:2024年4月2日 0時

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