お邪魔します【仮住】 (ページ2)

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＃１特別ページ2

『疲れた…早く家帰ろう』

朝から晩まで働いた。
今日は少し気難しいお客様の対応があり、いつもより疲れが出ている気がする。
上司にもフォローをしてもらいながらなんとか業務を終え、気付けば定時は少し過ぎていた。
いま私は、満員電車に揺られながら愛しい我が家へ急いでいる。

結局自分を癒してくれる場所は家なのだ。
勿論仲の良い会社の人との呑み会も、気の知れた友人とのお買い物も、たまに奮発して行くテーマパークも、全てが楽しい。それは事実。
だけど最終的には家が１番好き。
周りの目も気にせず、とにかくゆっくりできる。
私にとって家は特別な場所だ。

『ただいま〜』

ふかふかのお気に入りソファーに体を預けると、少し軋む音がしつつも疲れた私の体を受け止めてくれる。
数秒ボーッとした後、嫌々体を起こしてトレンチコートが皺にならないようハンガーにかけた。

春、暖かくなってきたなぁ。
ベランダで煙草を吸っても寒くない季節になってきた。
ふぅ、と煙を吐けば夜の闇に消えていく。
家の近くで綺麗に並ぶ桜並木を見ながら、私は完全にリラックスしていた。

『今週は休みないんだよね、頑張らないとな』

自分を鼓舞する為に一言呟いてから家の中に入り、今日は何を食べようか考えるのであった。