ロブ・ロイ (ページ17)

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「今までの事も、今日の事も、私は夢にしないよ」

目を開ければ彼は眉を下げて笑った。

きっと私は、今日の事をなかった事には出来ない。

だけど、彼の心を奪いたい、なんて思わないから。

彼を好きだった気持ちも、彼が私を好きでいてくれた事も、忘れたくない。

「…ありがとう。いつもこうやって運んでくれてたんだね」

こんなに優しく、大切に。

友達として、だけれど。

「俺の苦労が分かってくれたならいいよ」

彼が冗談めかして笑う。

「照さ、」

「ん？」

「結婚考えてるでしょ」

図星だとでもいうように、分かりやすく固まるもんだから思わず笑ってしまう。

「さっきの私みたい」

「…だな」

「自分の事より照の事の方が分かるの、照も同じだったりする？」

隠してるつもりはないけど、言わなくてもなんとなく分かってしまうのは何故だろう。

「はは、うん。同じだ」

私たちはお互いの事を知りすぎてる。

そんな私たちにはきっと恋仲なんて似合わない。

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