マンハッタン

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「返事は？」









「…いいよ、住もっか」









「違う。結婚」









そういえばさっき、そんな話をしてたなと思い出す。









結婚願望が、あった訳じゃない。









仕事は楽しいし、一人でもそれなりに充実してた。









でも改めて結婚というものを考えてみると、それもありなのかもしれないと思った。









だって、翔太なんだもん。









「本当に、私でいいの？」









なんて、答えなんて分かっているのにこんな事を聞いてしまう私は翔太と同じくらいめんどくさいのかもしれない。









「Aじゃなきゃダメ」









その返事を知りながらも言葉で聞いて安心している。









向井くんにちゃんと言わなきゃな、と思いながら口に出すとめんどくさそうなのでやめておいた。









翔太の腕の中で眠る日が来るなんて夢にも思わなかったけど、背中に回された腕と絡められた足から翔太の体温が伝わり現実なのだと再確認する。









“おやすみ”という言葉も無くスヤスヤと眠る翔太に笑みを零しながら、私も目を閉じた。









「…A、あいしてる」









遠のく意識の中、うっすらと聞こえたその言葉が現実のものだったのかは、明日聞こうと思う。









fin.

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