アメリカーノ (ページ18)

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「遅い」

「…なんで、いるの…」

幻覚だろうかと思ったが、私は酔っていないし今までもそんなもの見た事が無い。

会いたかった人が目の前にいるのに、疑問ばかりが浮かんで言葉を発する事が出来ずにいると、彼は私の腕を掴んで言う。

「話したいから、とりあえず入れて」

私の家なんだからどこにも行くわけないのに、逃がさないとでも言うように力が込められる。

「…散らかってるけど、」

「お邪魔します」

リビングまで連れてきたものの掴まれたままの右腕から、直に彼の体温が伝わり少し緊張してしまう。

「離してよ」

「どっかいっちゃいそうだから」

「行かないよ。私の部屋なんだから」

私をソファに座らせると彼も隣に座り、やっと手を離してくれた。

「なんで連絡くれないの」

こんな言葉に惑わされ彼を好きになった人は何人いるんだろう。

私もその中の一人だという事が悔しい。

だいたいなんで私の家を知ってるの、とこっちが聞きたい。

「…したのに、出なかったじゃん」

「ごめん、仕事だった」

彼が忙しいというのは知ってたけど、もしかしたら女の子かもしれないと思っていた私は、仕事と聞いて少し安心した。

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