3話 ページ3
数分して、一行は酒場に着く。
ドアを開けると鈴がチリンチリンと鳴った。
「おや、君達だったか」
「久々だな、栄誉騎士」
そこには、この酒場のオーナーであり厨房に立つディルック、カウンターで酒を飲んでいる西風騎士団の騎兵騎士の称号を持つガイアがいたのであった。
「久しぶり、3人共」
「旅は一段落したようだな」
「おう！久々にモンドに帰ってきたぜ！」
パイモンがそう言うと、ガイアは一杯やろう、と誘ってこようとするがそれをディルックが止めた。
「今旅人達は取り込み中のようだぞ」
「おっと、それは失礼」
ガイアは渋々そう言いまた今度、と言った。
…いや、旅人は酒を飲まないのだが…
そう言ったってどうせ忘れるのだろうと思い放っておき、ユーリと奥のテーブル席に座った。
席に着くと、ここのバーテンダー達が水をくれたのと同時にパイモンがつまみを注文する。
「さて…ではユーリさん、お話してもらってもいいでしょうか？」
「あぁ、あれは4か月前…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ユーリが一人、夜中のモンド城付近を散歩していると突然、周りから白い霧がたちこめた。
「うわっ！な、なんだ？この霧…」
視界が悪く、周りが見えないので手でかきまわす。
すると、視界がどんどん広がっていき、霧は足元に少し残るほどになった。
「一体何なんだ？この霧は…」
今日はもう帰ろう、そう思って前を見ると、そこには有り得ない光景が見えた。
「に…兄さん？」
「…ユーリ…」
そこには、“もうこの世にはいない”ユーリの兄、ガトルがいたのだ。
その時、少女のような可愛らしい声が「ふふふ…」と聞こえた。
が、記憶はそこで途切れ気づいた時には道端で眠っていたらしい。
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作者名：こむぎこ。 | 作成日時：2024年2月22日 22時
