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「負けちゃったなぁ」
当然のように私の隣に並んだ彼は
眉を下げてそう言った。
高校時代同じバスケ部に所属していた田中樹。
……私の、憧れだった人。
なにが、ということもなく
なんとなく好きだった。
高校生に、好きな人の好きな理由を具体的に説明出来る子なんてほとんどいない。
みんなが好きな樹を、例に漏れず私もなんとなく好きになって、神格化して拝めていた。
「……なぁ、お前ちゃんと試合見てた？」
ぼうっと眺めていた綺麗な横顔が
突然私に向かって口を開いた。
「へ、？」
「しーあーい。そのぼーっとしてる感じ、全然見てねぇな」
困り眉の笑顔を向けられて
心臓がどくんと脈を打つ。
顔が良い。
「…え、あー……。負けちゃったけど、いい試合、だったね」
目を逸らして言うと
樹ははは、と乾いた笑い声を漏らした。
「……学年被ってる後輩もいねぇし、そんなもんか。まー、俺はもっと関わりねぇけど」
「そ……だよ。地元な訳でもないし、最後まで居なかったんだから」
地元生が殆どの私の高校に
樹は県外から受験をして入った珍しい存在だった。
入学時から大体が顔見知りで、グループもなんとなく出来ている
私だったら絶対に耐えられない完全なアウェー空間。
ところが、彼は持ち前のコミュニケーション能力とフットワークの軽さで
あっという間にクラスの中心的な存在になった。
素行は少し悪いけど、勉強はそこそこ出来て
運動も出来て、その上あの性格だから周りには常に人がいて。
充実した学校生活を送っているかのように思えた、高校2年の春。
彼は突然、自主退学をした。
家の事情で。
そう連絡が入ったのを最後に音信不通になり
彼の動向は分からなくなった。
私はその頃酷く不安定になって
樹のことを思い出しては時間も忘れて泣いていた。
なにがそんなに辛かったのか、よく覚えていないけれど。
こうして本人を目の前にすると
未だに胸のどこかがちくりと痛む。
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莉帆(プロフ) - コメントありがとうございます！焦らずご自身のペースで更新されるのを楽しみに待っています！！上から目線見たくなってしまいすみません！ (8月24日 22時) (
レス) id: 68b2be3bb7 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - 莉帆さん» 莉帆さん、コメントいただきありがとうございます！長い間手付かずの状態になってしまい申し訳ありません…՞߹ - ߹՞結末までの展開は考えてあるので、どうか気長にお待ちください…！ (8月24日 10時) (レス) id: ebf49800b8 (このIDを非表示/違反報告)
莉帆(プロフ) - 初めまして！樹と主人公の関係や樹の過去、�眞呂箸隆愀犬世辰燭蟲い砲覆蠅泙后�早く続きが読みたいです！ (8月8日 1時) (レス) id: 68b2be3bb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すず | 作成日時：2023年5月21日 2時
