キスしないと出られない部屋【文スト】

キスの後　　　　　　　　　　中島敦 ページ2

「あ〜肉球最高。虎の肉球なんて一生触れないだろうと諦めてたけど、まさか触る機会が訪れようとは………！」
「尻尾も出せますよ」
「わぁ〜すごーい！ふわふわだあ！！」
「実は耳も出せるんです」
「やばい！敦君が天使に見える！！このもふもふめっちゃ気持ちいい！」
「僕も、気持ちよくなってきました………」
「ほんと？じゃあゴロゴロ言ってみてよ！できる？」
「んー、ちょっと出来ないみたいです」
「そっかー、まあこのもふもふがあれば十分だよ！」
「………………………春ですね」
「？………どうしたの急に」
「虎は猫科ですよね」
「うん………」
「猫にとって春は、大事な恋の季節ですよね」
「！………ご、御免敦君私そう言えば用事が」

ぎゅ

「逃がしません」
「い、いや御免！ほんとに！ちょっと気が回らなかっただけで、御免！」
「Aさん」
「っお、おう」
「もっと二人で、じゃれあいましょう？ね？」

翌日

国「おいA。乱歩さんの駄菓子を補充してきてくれないか」
「え、あー」
「国木田さん、僕が行きます！……………………Aさんは今日一日安静にしててくださいね？」

ちゅ

「じゃあ、行ってきます！」
国「な、小僧！貴様社内で接吻など！！」
「落ち着いてください国木田先輩。今のは猫特有の挨拶です」
国「そ、そうなのか？」



(その優しさは昨夜の内に発揮して欲しかったな。…………あー、痛い)

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