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『しーっ、声でかい笑』
「あ、ごめんっ、……っていや、え？なんでいるの？」
『いや、Aちゃんの楽屋、さっき見つけてん。んで、暇やし俺の楽屋と近かったから、帰る雰囲気出たら、捕まえたろかなーって思って笑』
「え、…」
そう言っていたずらっぽく笑った道枝くん。その顔がやたらかっこよくて、思わず呆気にとられる。
『やっと会えた』
………そんなの。
そんなの、ずるいよ。これじゃまるで道枝くんも、
ずっと私に会いたかったみたいじゃないか。
『3ヶ月ぶり、とかやんな？笑 LINEでは結構話してたけど』
「あ、うん。そう…だね笑」
『…俺、Aちゃんがアイドルに、人生ぜんぶ全力でかけてるの知ってるからさ、邪魔は絶対しないって決めててん』
「そっ、か……なんか、ありがとう」
『……だから、今なら、誰も見てへんからさ、いい？』
「何が？」って聞く前に伸ばされた腕は、私の身体全てを受け止めてくれた。抱き締められてる、って気づいた時にはもう遅くて。離れられる訳なんてなくて。
暖かくて、柔らかくて、気持ち良いこの感覚をなんと呼ぶか、なんて、もう分かってる。…わかっちゃダメ、なんだけどな笑
『Aちゃん？』
「ん、あ、うん。え？なに？」
いつの間に離れていた道枝くんは、今度は私の頭に手を置き、優しく私の頭を撫でてくれた。
『…ちゃんと、自分の気持ちに従ってや？ 周りの大人とか、世間の声とか、それも大事やけどさ。一番はAちゃんが、どうしたいか、やからさ。当たり前やけど、自分を大事にしてな』
「……ありがとう」
『いーえ笑』
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作者名：なの | 作成日時：2024年3月21日 12時
