私の幼なじみ、強すぎる。【佐野万次郎】

ど真ん中 ページ6

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あ、いける。



そう思い、立ち上がって地面においていたものを拾って進む。
部屋の奥。はなれたところに付けられた、マイマイのおじいちゃんが私のために付けてくれた的。


息を吐いて、その中心部分に向けて、ゆっくりかまえる。







＿＿＿＿＿＿すとん。







「あーあ、ハズレ。1m離れてんじゃん。調子良けりゃど真ん中いけんのにバジがAの邪魔するから」

「オレのせいじゃねぇだろ！オマエだってギャーギャー騒いでたじゃん！」

「Aドンマイ。そういう日もあるって、あんま気にすんなよ。いくらでも時間あんだから何回でも打っとけ」





「とても泣きそう」



今までで一番いける気がしたのに。





「えっアイツ、マジ？泣いてる？泣きそうっつーか泣いてる？」

「あんな無表情で泣くヤツいる？女子ならもっと感情豊かに泣き喚かねぇ？Aくらいの歳の子なら特に」

「オレ前にAくらいの女子が泣いてンの見たけどちゃんとギャン泣きしてたよ」

「感情無きロボットが親である開発者殺した時に零す涙だろアレ」





「イッチー……弓は「打つ」んじゃなくて、「引く」んだよ」


「泣いててもちゃんとそこは否定すんだな」





「大丈夫だA。オマエならきっと出来る。一番近くで見てきたオレが保証してやるから泣くな。オマエに涙は似合わねーよ」





「ンだアイツ、自分で泣かしといてここぞとばかりにポイント稼ぎにいってんだけど」

「流石はオレの弟。前に観せた洋画のワンシーンのフルコースとは」







そっと私を抱きしめてきたマイマイだけど、マイマイ達がジャマしてきたせいってことは知ってるから引きはがそうとした。

引きはがそうとしたけどマイマイの力が思ったより強かったからムリだった。だからマイマイの服で涙をふいておいた。



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