第93話「愚鈍と鈍痛」 ページ9
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すると、学長の横で何かが蠢いた。
一つの人形。……二本足で立ってる？
「君は非呪術師でありながら呪霊の視認は出来ると聞いた。しかし君は入学希望者ではなく用務員を志望している。………今すぐここから出て行き別の職を探すと言うのであれば手荒な真似はしない」
「えっえ、お坊ちゃまあれ、人形、ジャパニーズホラーやん！！！」
「A、今日はマジで空気読んだ方が良い。人形よりあの厳つい人に興味持てよ」
「いやあれ、動いてるあれ、ヤバない？」
「君の今の状況の方がヤバいからねマジで」
「………「呪骸」。私の呪いが篭められた人形だ。故に意思を持って動く事ができる」
「ほら見ろ、あまりに学長そっちのけで人形に興味津々だから若干気ぃ使われてんじゃん」
「なるほど、呪いが篭められた人形……何で動けるの？」
「君が覚えてたら後で説明してあげる」
なるほど、ガッテン了解。
ようやく厳つい男性、学長さんと向き合った。
なんか眉間に深いシワが寄ってる。あれ絶対私のせいだな。
「……最後の好機だ。今すぐ退き別の道を選ぶというのなら君に危害を加えない。残るのであれば……分かっているな？」
人形がグヒヒと不気味に笑った。小学生の大きさくらいの奇妙なカッパのヌイグルミ。
あれが夜中に動き出したら恐怖でしかないなとか思いながら、私は口を開いた。
「ここで働かせてください」
「………そうか」
瞬間、途轍も無いスピードで迫って来た人形。
一つの瞬きの間に距離を詰め、そして薙ぐように拳を振り上げる。
咄嗟に狙われた脇腹を庇った。でも庇った腕からミシリと音がした。そのまま軽々と吹っ飛ばされて壁に叩きつけられる。肺の中に溜まってた空気が無理やり押し出され、めちゃくちゃに噎せた。
そんな私にまた、人形は無慈悲に拳を振るう。
「………正規の試験を受けさせることなくわざわざ私に直談判してまで彼女を引き入れたい理由はなんだ、悟」
「ちょっとこっちも色々事情がありましてね。他の人間には1枚の資料しか見せてないけど、貴方は見た筈だ。あの子が本来辿って来た「顛末」を」
「机の上に乱雑に置かれていたあの資料か？目を通したがあまりに奇妙で現実的では無い。……が、お前が言うのなら間違い無いのだろう」
「意外だな、手放しに僕を信じてくれるんですね」
「お前がこの様な場で嘘を吐くような愚かな真似はしないと踏んだまでだ」
「ハハ、手厳しいな」
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なぎさん(プロフ) - めっちゃ面白かったです！素敵なお話ありがとうございます！！ (9月17日 23時) (
レス) id: 3e92d95cce (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 面白いです！あまり人の事には突っ込めませんが更新頑張って下さい！ (2022年9月24日 7時) (レス) @page26 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - もう呪術は書かれないのでしょうか… (2021年7月16日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
あいねこ(プロフ) - コメント失礼します。今まで読んだ作品の中で個人的に一番好きです！更新頑張ってください！ (2021年1月2日 18時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
. - 凄く面白かったです。続きが読みたい!!! (2020年12月17日 5時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Nny。
| 作者ホームページ：
作成日時：2020年11月30日 19時
