第90話「もちもちおもち」 ページ6
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「因みに、君のヘンテコな境遇を考えて凡ゆるコネを用いて裏取引した上で戸籍を弄りました。掛かった費用人件費諸々含め、ざっとお値段こんな感じ」
「………???お坊ちゃまこれ、0の数バグってない?」
「バグってない、正常の金額。貸しだからねこれ」
「ひ〜〜〜身に覚えのない借金ってこんなところで生まれるものなのか」
「それで、君の今の年齢は“19”だ。平成11年10月生まれ、一般家庭にて生を受けるも両親は幼少期に死亡。
普通の公立高校卒業後、近所の中小企業にて一社員として働くも僅か一年でバックれ退職。そして「呪霊が見える」ってことでウチの用務員を希望したものの学力云々の問題があるから僕を通じて特殊ルートを経て門を潜った……と。そんな感じかな」
「……なんか聞こえちゃったけど、ぶっちゃけあんま印象よろしくない感じの経歴だな。ていうかAさん19だったんだ」
「あっあっあっ、そうなんすよ、よろしくでやんすグッピッピ」
「めちゃくちゃ露骨に不自然だけどどしたん」
気のせいだイタドリくん。
気のせいだが、君は勘の良いガキだなイタドリくん。
「そっそっそれよりなんでこんな複雑な感じでやんす?」
「やんす?その方が裏ルートを通る人間として自然でしょ?正規の試験がパス出来るならもっと良い感じに書いてたけどさ。君の『呪縛』が邪魔しちゃうからねえ」
頭をウリウリされた。こめかみを開いた両手で押さえつけるやつ。最近ハマってんのかな、普通に痛いんだよなこれ。
「てゆーか、先生そういうメンドーなこと絶対やらなさそうなのに、Aさんには甘いよな」
「ま、Aの面倒を見るって言ったのは僕だしね。使用人の生き死に決めるのも僕だから」
「えっ死も決められるの君に??」
「僕に「死ね」って言われたら死ぬ?A」
「死ぬけど」
いつの間にか前を歩いていたイタドリくんの足が止まった。そして振り返って私に詰め寄る。
「ちょっっっとは考えた方が良いってマジで!!五条先生のお付きってか、最早盲信してる信者みたいになってるからAさん!!」
「だって悟お坊ちゃまは私の……」
「「私の?」」
「私のおはぎみたいなものだから……」
君のおやつは私のもの。
緊張とストレスと不安でぼんやりした脳内でそう答えれば、後頭部をスパン!と叩かれた。
「誰がおはぎだよ」って言われたけど、私にとって君はもうおはぎにしか見えません。齧っても良い?
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なぎさん(プロフ) - めっちゃ面白かったです!素敵なお話ありがとうございます!! (9月17日 23時) (レス) id: 3e92d95cce (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 面白いです!あまり人の事には突っ込めませんが更新頑張って下さい! (2022年9月24日 7時) (レス) @page26 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - もう呪術は書かれないのでしょうか… (2021年7月16日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
あいねこ(プロフ) - コメント失礼します。今まで読んだ作品の中で個人的に一番好きです!更新頑張ってください! (2021年1月2日 18時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
. - 凄く面白かったです。続きが読みたい!!! (2020年12月17日 5時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月30日 19時