第97話「配合・混成・ちゃんぽん」 ページ13
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「君の眼は本来黒曜色の筈だ。
しかし、恐らくこのバカの独断で試行されたのだろう、呪力を持たない君の体へ無理に呪力を流し込まれた所為か、君の瞳の中に僅かに蒼が混ざり込んでいる。呪霊が視認できるようになったのは恐らくその為だ」
………んん?
「お坊ちゃま」
「何?」
「………もう怒ってない?」
「最初から怒ってないよ」
「学長何言ってんの?」
「………クッ」
背後から私の顔面をロックしていた悟お坊ちゃまの手が震えた。笑ってる?なんで。
そして前の学長の眉がピクピク動いてる。……え?
「学長駄目、ッ駄目です、この子には、フフッ、もっと小学生を相手するみたいに、教えてやんねーと」
「ツボり過ぎでは?」
「………お前が懇切丁寧に教えろ。彼女の肩書きは仮にもお前の「専属」使用人だろう」
「僕の手に余り過ぎる……っ!扱いが、ブフッ」
「いい加減落ち着けよ」
どうした悟。狂ったんか。
私から離れ、顔に手を当て小刻みに震えてる悟お坊ちゃま。死にかけのゴキブリみたい。珍しい光景過ぎて写メりたいが私にスマホはない。
彼を無視して学長に頭を下げた。コンセツ丁寧に謝れば「……前途多難な道だろうが、君なりの速度で真っ直ぐ突き進みなさい」と言われた。
つまり猪突猛進が許されたと。わっしょい!
未だGのような悟お坊ちゃまを今度は私が引っ張り「失礼しました!」と叫んで出て行った。
学長はこちらを見る事なく黙々と人形を作り始めていた。今思ったけどクマがお裁縫してるみたいでとってもファンシーだな。
そしてその後、アッサリ落ち着きを取り戻した悟お坊ちゃまが「んじゃ、諸々の手続きしに行くか」と私を連れてずんずん突き進んで行き。
ある事務所に通され滅茶苦茶な量の書類にサインしたり書き殴ったり(内容は全て悟お坊ちゃま指示)、ひたすらハンコをぽんぽん押してその日は終わった。
やけに注目を浴びていたが、それは悟お坊ちゃまのせいかなとか考えながら作業してたら二枚くらいハンコの押し間違いをして四発デコピンを食らった。なんで二倍食らわせたんだ。……あれ?二乗だっけ?
「というか悟お坊ちゃま暇なの?」
「クッッッッソ忙しい身ですが君の為に削ってやってんの感謝しろ」
「ずびばぜんでじだ」
ほっぺをつねられた。痛い。
そんなこんなで夜、事務員専用の寮のようなところへ連れてかれ、閑散とした綺麗な空間に置かれたベッドの上でグッスリ眠った。
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なぎさん(プロフ) - めっちゃ面白かったです!素敵なお話ありがとうございます!! (9月17日 23時) (レス) id: 3e92d95cce (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 面白いです!あまり人の事には突っ込めませんが更新頑張って下さい! (2022年9月24日 7時) (レス) @page26 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - もう呪術は書かれないのでしょうか… (2021年7月16日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
あいねこ(プロフ) - コメント失礼します。今まで読んだ作品の中で個人的に一番好きです!更新頑張ってください! (2021年1月2日 18時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
. - 凄く面白かったです。続きが読みたい!!! (2020年12月17日 5時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月30日 19時