第95話「獰猛な獣」 ページ11
.
人形は壁へぶっ飛んで行き、減り込んだ。
ぱらぱらぱらと破片が飛び散る。
「___あなたが作った人形の一つを私が壊したからです」
「……何?」
「最後の質問の答え」
ゴシゴシと袖で頭から流れる血を拭った。
べっとり付いたそれをぶんぶん振って乾かす。血の匂いで頭がおかしくなりそう。
声……出るな。口いっぱいに血の味がするけど無視無視。
「貴重なものだって悟お坊ちゃまから聞きました。だから私考えました。どうやったらお金とか払うことなく、あなたに許してもらえるかなって」
「それが先程までの状態、と?」
「10分。私、その間だけは何をされても、殴られても蹴られても罵倒されても頭鷲掴みにされてもぶん投げられても首を絞められても例え半殺しにされても、何もしないって決めました。だって許されるにはそうするしかないって思ったからです」
お坊ちゃまからスマホを借りた時。
あの時一応タイマーの設定はしておいた。ロック画面からでも出来るかどうか不安だったけどできた。良かった良かった。
「それで、これも決めてました。
散々ボッコボコにされて蹂躙されてボロ雑巾になったとしてもその10分が過ぎたら、
「正当防衛だ」っつって、この私をボコしたやつら全員屠って、めちゃくちゃに暴れ回ってやるつもりでした!!!!!!」
半身が吹き飛んだ状態で尚私に襲いかかってきたそいつに回し蹴りを食らわせる。
パン!と小気味良い音を立てて、風船が破裂したように人形は今度こそ砕け散って消えた。
私の方が散々ボコられたのに何だそれ、二発でやられんなよ、もっと甚振って殺してやるつもりだったのに。
頭から血を垂れ流しながらジッと学長の方を見る。
「早よ次の人形出してくださいよ、全員ぶっ殺してやるから」
「……それが、君の答えか」
「全員に等しく因果応報を与えてやるんですよ。それが私にやれることだから。やられたらやり返します。呪霊もなんでも全員まとめて平等に殺してやる。メイド舐めんな」
血がぼとぼと地面に落ちた。
そんなことは最早どうだって良かった。今この蓄積された怒りを発散しないと収まらない。アドレナリンドバドバだから今の私はバーサーカーと化した。
奥に控えた人形、全部ぶっ壊せば多分治る。
「合格だ。イカれ具合とその豪腕、ただの用務員にするには惜しいくらいだ」
「………次の相手はサングラスですか」
「学長と言いなさい」
え?終わり、?
.
2525人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なぎさん(プロフ) - めっちゃ面白かったです!素敵なお話ありがとうございます!! (9月17日 23時) (レス) id: 3e92d95cce (このIDを非表示/違反報告)
しろごま - 面白いです!あまり人の事には突っ込めませんが更新頑張って下さい! (2022年9月24日 7時) (レス) @page26 id: 4dc97dea49 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - もう呪術は書かれないのでしょうか… (2021年7月16日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
あいねこ(プロフ) - コメント失礼します。今まで読んだ作品の中で個人的に一番好きです!更新頑張ってください! (2021年1月2日 18時) (レス) id: a4bed0c9af (このIDを非表示/違反報告)
. - 凄く面白かったです。続きが読みたい!!! (2020年12月17日 5時) (レス) id: 0b60fa6ccb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月30日 19時