第53話「きっとこの感情は」 ページ9
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「存外、大したことなかったな」
どろどろの奥からそんな声が聞こえた。知らぬが仏と言いますが如何に。
そしてそんな言葉に若干プッチンした様子の煽られ耐性イマイチな悟元お坊ちゃまにニヤッと笑う。
「大したことないんですって。言われちゃったネ、悟「元」お坊ちゃま」
「諸々の不敬罪、このマグマを顔面に浴びたら許してやるよ」
「死ぬやん!!一瞬で御陀仏やん!!!」
無敵バリアーを私の前だけ解除しようとした悟元お坊ちゃまに必死でしがみついた。何ちょっと昔の悪ガキに戻ってんの、こうなりゃ死なば諸共じゃ!!
そんで死んだ後にまた死んでもう一回死ぬのは流石に嫌じゃ!!!
……あと全然関係ないけど28歳になったこの人を今更「お坊ちゃま」呼びするのも憚られるな。なんて呼ぼう。
「というか、視認できるようになったんだ」
「え?何を?」
「あの呪霊。声も聞こえてるんでしょ?」
「あ、はい。じゅれい?ってやつ?なんかボンヤリ見えるし声も聞こえる」
「そっか。………流し続けた甲斐があったな」
「え?」
なんか聞こえたけど。聞き返せば「別に何も」と目を逸らされた。
そして私を無視して、彼はボンヤリおじいちゃんと向き合う。
「誰が大したことないって?」
どろどろが地面へこぼれ落ちる。ようやく視界が広がり、こちらに背を向けていたおじいちゃんが遠くに見えた。
何の耐性もない地面のコンクリは膨大な熱量のマグマを浴びて瞬時に液状となって溶けていく。
つまりこの人に見捨てられてたら私もこうなってたと。一回試してみる価値はありそうだけども。
「小童め、」
ぼんやりと見えるおじいちゃんは、頭が火山みたいになっていた。訳が分からないワードでちょっと笑う。
「おい、今儂を見て笑ったな小娘?」
「やべっバレた。ヨシお坊ちゃま行け!炎タイプは水に弱いってこれ常識よ!ヨシ!」
「ならA、君がアイツに突進して目の前で爆散してきな。大丈夫、人間の身体の約60%は水分で出来てるから何とかなるって」
「ア"ーーーッッ見捨てる気満々のお坊ちゃま降臨!!!」
肩をガッシリ掴まれグイグイ前に押された。すみません違うんです死に急ごうとするこの口が悪いんです!!
というかさっき生きてるか分からなくて探し回ったって言ったのに見つかったら見つかったで敵の前で自爆させようとするの何!?どういうタイプの天邪鬼!?
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sou(プロフ) - はじめまして!!読み始めたばかりなのにもうこんなにも進んでしまいました!!基本的に夢小説でのギャグ系苦手なのですが、こちらすっごく面白くて!!これからも最終章行ってきます! (2022年2月11日 16時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
巫礜 - 2章完結おめでとうございます!!とても面白くて一気に読んでしまいましたー!3章も楽しみに待ってます!無理せず頑張ってください!応援してます!! (2020年11月29日 23時) (レス) id: af56b806d8 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました!展開に置いてかれる悠仁がちょっと面白かったですw3章も楽しみにしてそれこそ犬のように待ってます!! (2020年11月29日 13時) (レス) id: c55596aced (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 2章完結おめでとうございます!いつも通知が来るたびワクワクしながら開かせてもらってます。これからも応援してます!では、お体に気を付けて。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: cfabc7c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - 第2章の完結おめでとうございます。いつもはぁはぁ息を荒くしながら見させて頂いております(キモい)第3章も楽しみです! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 0a87aae102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月23日 1時