第51話「色褪せた物語」 ページ7
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____本当の本当に、君は、悟お坊ちゃまなの?
「………あ、あなたは、あなたは本当に、私が知ってる悟お坊ちゃまなんですか?」
「何度もそう言ってるでしょ。じゃじゃ馬メイドにいつまでも振り回されてる馬鹿な飼い主さ。名刺でも出せば満足する?」
「私と最後にした約束、覚えてますか」
私の言葉に、彼はこっちを見て口元に弧を描いた。
「「また色んなところに行こう」……君はそう言った筈だ。確か僕はその後、北極へ行きたいとか言ってたっけな」
「スゴイ、合ってます。二十年経っても覚えてるなんて逆に引く」
「そこは普通感動して「お坊ちゃまっ……!!」って抱き着きに来るところじゃない?」
「うん、そうだね、そうかも知んないけど、いや構えられても困る」
小首を傾げ「ん?」と柔らかく微笑み私へ手を伸ばした悟「元」お坊ちゃまの視線から、少しだけ目を逸らし、また彼を見る。
「____ 立派に成長したんだね」
私の知らないところで。
二十年もの月日が流れてしまったのか、彼は随分と大人びていた。
悟お坊ちゃま、なんて呼び名が似合わない程、彼は変わってしまった。
私は君の生きてきた過程の、ほんの一部しか知らないままだ。
「……君こそ、何で昔の姿のままなのかな。まさか時空の歪みに落っこちたとか言わないよね?」
「私に説明できる脳があれば良かったんだけど……光になって消えた後、ワヤワヤした空間にずっとポヤポヤしてましたって言う他無い」
「これ程まで君の脳髄を蝕む「呪縛」を恨んだことはないな」
「馬鹿なのは天性的って感じですかね」
「察しがいいね、その通り」
「つまり私は天から才を受けた天才と」
「ハハッ」
「笑ってんじゃねーよ」
笑うんなら心から笑えよ。
そしたら彼は目隠しを戻した。
この野郎、殴る蹴る以外に人を見下す手段を見出しやがった。
しかし性格の悪さはマジで悟お坊ちゃまだ。それに約束も覚えてた。本当に私はタイムスリップをしてしまって、時空を超えてあれなんか、あの月の方から何か、影?
ふわり、
何か温かいものに包まれた感覚がした。
身体が宙に浮く。咄嗟に目の前の黒の何かにしがみ付いた。
よく考えたら「ふわっ」って空飛んだ感覚、
「………ウギャッッッ!!!!」
不本意ながら猿の奇声みたいな声を上げたら「もっとマトモな悲鳴上げなよ」と近くから声、そしてとんでもない破壊音の最早マリアージュ。フランスかよ。
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sou(プロフ) - はじめまして!!読み始めたばかりなのにもうこんなにも進んでしまいました!!基本的に夢小説でのギャグ系苦手なのですが、こちらすっごく面白くて!!これからも最終章行ってきます! (2022年2月11日 16時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
巫礜 - 2章完結おめでとうございます!!とても面白くて一気に読んでしまいましたー!3章も楽しみに待ってます!無理せず頑張ってください!応援してます!! (2020年11月29日 23時) (レス) id: af56b806d8 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました!展開に置いてかれる悠仁がちょっと面白かったですw3章も楽しみにしてそれこそ犬のように待ってます!! (2020年11月29日 13時) (レス) id: c55596aced (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 2章完結おめでとうございます!いつも通知が来るたびワクワクしながら開かせてもらってます。これからも応援してます!では、お体に気を付けて。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: cfabc7c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - 第2章の完結おめでとうございます。いつもはぁはぁ息を荒くしながら見させて頂いております(キモい)第3章も楽しみです! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 0a87aae102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月23日 1時