第50話「慟哭」 ページ6
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そしたら突然腕を掴まれた。ミシリ、と音がして、え?と前を見れば彼は無表情で私を見下ろしている。
急激に下がった周囲の温度。
また、どうしてだか身震いしてしまう。
「……こっちだっていろいろ聞きたい事あるんだけど。なんで急に出てきたの、ねえA。どうして?教えてよ」
「い、いい痛い!痛いよ!!」
「君が死んで、いや消えたって方が正しいか、僕はあれから、もしかしたら消えた君はこの世の何処かへ飛ばされたのかもしれないって、まるでお伽話みたいな確証も無い微かな希望を抱いて地球の裏側の隅々まで飛んで何度も君を探し回った。でも君の気配の一片も手掛かりすらなくて、この六眼ですら無力同然で、結局
だからなんで、どうして今更僕の前に現れたの?数十分前って何の事だよ、お前こそAを騙ってんの?俺が強くお前を望んだからだとでもいうのかよ。なあ教えてくれよ、お前は俺が心の奥底に仕舞い込んだお前の過去の残像をいつまでも女々しく想い続けた余り生み出してしまった故の実体を伴う夢幻だったりするのか?ねえA、答えてよ、答えろ、A!!」
「痛い、い"っ痛い痛い!!ううぅぁぁ……っ!!!」
腕思いっきり握られるし(骨がミシミシ逝ってる音がする)顔面を掴まれ思わず叫べば開いた口にするりと男の親指が入る。
咄嗟にそれを思いっきり噛んでやれば、ごりっと骨が軋んだような感触と口内に広がる人の皮膚の味。
一瞬苦痛に顔を歪めた男はようやくハッとしたように手を離した。
「………ご、……ごめん、つい」
「ば、ばっバカバカバカバーーカ!!!なんだ急にお前!!怖過ぎんだよ!!お前のその理不尽でビックリするくらい暴力的なとこ!!!…………悟お坊ちゃまにソックリだな」
「そこで納得されるのもちょっと腹立つんだけど」
正直めっちゃびっくりした。今でも心臓がばくばくしている。
急に情緒不安定みたいになったじゃんこの人。
少し落ち着いたのか、男は大きく息を吐き出した。
「僕としたことが、」と横を向いてボソッと呟いていて、何処と無く物憂げな動作すら私には見た事ないもので。
君は、私を探し続けたと言った君は、本当に、
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sou(プロフ) - はじめまして!!読み始めたばかりなのにもうこんなにも進んでしまいました!!基本的に夢小説でのギャグ系苦手なのですが、こちらすっごく面白くて!!これからも最終章行ってきます! (2022年2月11日 16時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
巫礜 - 2章完結おめでとうございます!!とても面白くて一気に読んでしまいましたー!3章も楽しみに待ってます!無理せず頑張ってください!応援してます!! (2020年11月29日 23時) (レス) id: af56b806d8 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました!展開に置いてかれる悠仁がちょっと面白かったですw3章も楽しみにしてそれこそ犬のように待ってます!! (2020年11月29日 13時) (レス) id: c55596aced (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 2章完結おめでとうございます!いつも通知が来るたびワクワクしながら開かせてもらってます。これからも応援してます!では、お体に気を付けて。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: cfabc7c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - 第2章の完結おめでとうございます。いつもはぁはぁ息を荒くしながら見させて頂いております(キモい)第3章も楽しみです! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 0a87aae102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月23日 1時