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「何を仰いますやら。こんな優雅な暮らしを捨ッエッフン!!!………バレたら君が何しでかすか分からないから一切触ってないよ」
『そっかそっか。ならとりあえずそのままにしといて。ごゆっくり優雅にお寛ぎくださ〜い』
ピッと切られた。
しまった、本心が悟られてしまった。悟だけに。
そしてまた玄関の方へ目を向ける。確かに最初に見た時にびっくら仰天してから全然見てなかった。
あんなのドラマとかでしか見ないやつだったから初めて見た時はマジで卒倒しかけた。今はこんなにグータラ出来てるから完全に忘れかけてたけど。
「不思議だな〜」
錆びた?年季でも入ってた?
外出する時は彼と一緒に瞬間移動で飛ぶからあそこは一度も使ってない。故に私は一度も、いや、一回だけ彼がいない時を狙って逃げようとした事があったけどあの鎖のゴツさに早々に諦めた。
あんなん破壊できるわけがない。そしてここは最上階。詰んでんだよな、と思っていたけど。
何気なく体を起こして大きく伸びをして、ベッドから降りた。
欠伸をこぼして、目を擦る。立ち上がって、歩いて行く。
玄関。一度も使ったことのない唯一の場所。
鎖に触れた。軽く触っただけで、簡単に外れた。
簡単に扉が開いた。
その奥で立っていた人物と目が合った。
「…………出て行ったはずでは?」
「気が変わった」
この男、無表情である。
手にはスマホ。そこからミシミシ音がしてる。
あーらら、完全に間違えた。好奇心はネコを何とやらと言うけど、本能に従ったまでじゃん。
開かずの扉が開きそうなら、誰だって手を伸ばすでしょ。
「おこですか、悟お坊ちゃま」
「頭の緩さはいつまで経っても変わらないね。そのままでいろって言ったのは僕だけど」
「は?何言ってんだ、大体君も嘘吐いたじゃん!」
「こんなアッサリ引っ掛かるとは思わなかった。君だけはホント、僕の予想のど真ん中を突き抜けるんだから。これだから馬鹿は扱いやすい」
おこじゃん。私の言葉完全無視じゃん。めちゃくちゃ貶してくるじゃん。
後退しようとしたその直後、頭に大きな手が翳された。
途端に瞼が重くなって、身体が前へ倒れこむ。
いつだって、そんな私を逃さないように包み込むのは君だった。
視界は真っ黒。そして体中に感じる温もり。今日だけは少し怖かった。
意識が遠のいていく。
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sou(プロフ) - はじめまして!!読み始めたばかりなのにもうこんなにも進んでしまいました!!基本的に夢小説でのギャグ系苦手なのですが、こちらすっごく面白くて!!これからも最終章行ってきます! (2022年2月11日 16時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
巫礜 - 2章完結おめでとうございます!!とても面白くて一気に読んでしまいましたー!3章も楽しみに待ってます!無理せず頑張ってください!応援してます!! (2020年11月29日 23時) (レス) id: af56b806d8 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました!展開に置いてかれる悠仁がちょっと面白かったですw3章も楽しみにしてそれこそ犬のように待ってます!! (2020年11月29日 13時) (レス) id: c55596aced (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 2章完結おめでとうございます!いつも通知が来るたびワクワクしながら開かせてもらってます。これからも応援してます!では、お体に気を付けて。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: cfabc7c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - 第2章の完結おめでとうございます。いつもはぁはぁ息を荒くしながら見させて頂いております(キモい)第3章も楽しみです! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 0a87aae102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月23日 1時