私、悟お坊ちゃまの “元” 専属メイドです。【呪術廻戦】

第71話「灼熱の領域」 ページ27

.



学習できてないのは私だけか。
いつまでも心に留めておきたいのに記憶に残らなくて、いつまでも君を疑ってしまう。


情けない。とても酷いやつだ、私は。
きっとこれからも、「馬鹿」を言い訳にして理解する事から逃げてしまうんだ。



「大丈夫。僕から離れないでね」



虎杖くんの頭に手を乗せて、彼はいつものようにそう言った。

ジジイは指を不思議な形に組み合わせ、怒りの衝動のままに「領域展開！！」と叫ぶ。



途端に景色が変わった。青く澄み渡った湖が、一瞬でマグマが煮えたぎる洞窟に変貌する。

地面から炎が噴出する。横の壁から炎が降り注ぎ、思わず「ギャア！！」と叫んだ。



「もうちょい可愛げのある悲鳴頂戴よ」

「何を期待してらっしゃるんだお前は！！」

「なっ……！！なんだよこれ！！アッツ！！」

「こんな感じでフレッシュな悲鳴をさ」

「腐ってるのか私のリアクションは」



大体なんでこんな時にこんな呑気に会話してんだ。
見るからに困惑した様子の虎杖くんと違い、私は何処か慣れたように彼と話していた。


なんでだろう、もしかしたらこういった摩訶不思議な光景に慣れてしまったからかもしれない。

悟お坊ちゃまといたらいつでもこういう経験が出来るから、ぶっちゃけ平凡な日常は全然送れないし所々で死に至るけど、でもこういう場面で取り乱さない事くらいが利点か。



メリットがデメリットで覆い尽くされるくらいすっっっっくないけども。



.

第72話「空気は美味しい」→←第70話「未熟な彼ら」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す