第47話「山中奈落」 ページ3
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「伊地知、お前は一人で先行ってて」
「え?何故です、それに彼女は」
「聞こえなかった?」
風が止んだ。凡ゆる音が死んだように静寂がこの場を支配した。
なんだか急に肌寒くなったなと腕を摩る。
「いじち」と呼ばれたメガネの男性は、思い切りビビった様子ですぐさま返事をし、車を急発進させて行ってしまった。
えっ行っちゃったよ。どうするの、移動手段消えちゃったけど。
「さて」
遠くで赤く光る車のブレーキランプを眺め、ふと横を見ればバッチリ彼と目が合っ………合ってんの?
残されたのは背高ノッポと私。そして私は、我ながら俊敏な動きでガードレールに片足を乗せて崖下へダイブしようと身を乗り出した。
「急に何してんの、ねえ」
「ふたりきり怖い、私にげる、ガケへダイブ」
「在日一年目のアメリカ人じゃないんだからさぁ」
正直高い所死ぬほど嫌いだから一か八かの賭けでした。
でもアッサリ彼に腕を掴まれ阻止された。距離詰めるの早くない?瞬足でも履いてるのだろうか。
ぐっと引き寄せられて道路へ戻された。腕は未だ掴まれたまま離される様子はない。これはちょっと、本当にやばいのでは?
「は、離して、大声出すよっ!!」
「僕は構わないよ。きっと山彦が返ってくるだけだと思うから」
「あっ確かに。ここ山道だったな、ヤッホーー!!!」
ヤッホー、ヤッホー……と微かにやまびこが聞こえた。
つまり彼方此方に私のドッペルがいるのか。恐ろしい世の中だぜ全く。
すると横で「このマイペースさホント変わんないよな、それにこれ実像だよね触れてるし」と男性はボソッと呟いた。というか腕離せよ。頑なに逃がそうとしてくれないじゃん。
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sou(プロフ) - はじめまして!!読み始めたばかりなのにもうこんなにも進んでしまいました!!基本的に夢小説でのギャグ系苦手なのですが、こちらすっごく面白くて!!これからも最終章行ってきます! (2022年2月11日 16時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
巫礜 - 2章完結おめでとうございます!!とても面白くて一気に読んでしまいましたー!3章も楽しみに待ってます!無理せず頑張ってください!応援してます!! (2020年11月29日 23時) (レス) id: af56b806d8 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました!展開に置いてかれる悠仁がちょっと面白かったですw3章も楽しみにしてそれこそ犬のように待ってます!! (2020年11月29日 13時) (レス) id: c55596aced (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 2章完結おめでとうございます!いつも通知が来るたびワクワクしながら開かせてもらってます。これからも応援してます!では、お体に気を付けて。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: cfabc7c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - 第2章の完結おめでとうございます。いつもはぁはぁ息を荒くしながら見させて頂いております(キモい)第3章も楽しみです! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 0a87aae102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月23日 1時