「ご機嫌取りのつもりですか」 ページ33
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「彼女はここを婚活パーティー会場か何かと勘違いされてるようですが我が物顔で部屋に居座られると普通に不愉快ですし、ただでさえ真面目に仕事してない人間に「お疲れ様ぁ♡」などと言われると心の底から不快感が込み上げます」
「メッッッチャストレス溜まってんなお前」
でも確かにそれはぶん殴りたくなるよな。ホントごめん……と、つい彼の頭を撫でようとして手が止まる。
こういう癖がダメなんだろうな。距離感距離感。
と、手を引っ込め浮かした尻を下ろそうとしたらこっちをガン見(?)してる二子と視線が合った気がした。
「何で止めるんですか」
「……ソーシャルディスタンス」
「今更そんな事しても無駄ですよ。ここにいる全員マスクしてない時点で世が世ならパンデミックで全滅してます」
そりゃそうだな。
しかし何だその視線は。何を求めてるんだ。
「………どうして撫でてくれないんですか」
「え?二子?」
「二度も言わせないでください」
「エッごめん」
さっきから謝ってばっかだな。というか二子、お前。
「(みんな撫でられたいのかな)」
ネコみたいだな。ホンワカしながらそんな事を思い、彼の頭に手を乗せる。フワフワだ、みんな全然髪質違うな。
「貴女は誰にも興味が無いから、誰にでも分け隔てなくこんな事が出来るんですね」
「ちょいディス入ってる?」
「だから貴女はどの女性よりも魅力的に見えるんです」
「マジ何の話?」
女としてなら魅力皆無だろ。まだギリ忍*まの食堂のおばちゃんの方が女として見れるだろ。
お前らのソレはただの「好奇心」ってヤツだと知れよ。
「……本当に酷い人ですよ、Aさんは」
「ゴメン、お茶いっぱいあげるから勘弁して……常識人に拒絶されるのが一番キツイ」
「要りません」
「……肩叩こうか?」
「ご機嫌取りのつもりですか」
「ウン」
「なら、またお願いします」
「お前なんか犬………何でもないやで」
ヨシヨシと頭を撫でる。気に入っちゃったのかな二子。可愛いな二子。
「貴女は無理に僕の目を見てこようとしないので助かります」
「隠すのには訳があるんだろ?人が嫌がる事はしたくない」
「そういうところに惹かれます」
「ありがとう?」
二子が立ち上がったと同時にブザーが鳴る。
手をヒラヒラと振った。
「暇になったらまたおいで」
「ええ。必ず」
少しだけ微笑みを浮かべ、二子は出て行った。
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シナモン - とても面白かったです‼士道最高でした‼ (11月23日 10時) (レス) @page36 id: 8b3e9c667d (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - いつまでも応援してます (10月28日 18時) (レス) id: 76125fe83b (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 面白かったです!!すごく!文才を感じました! 是非また更新してくださると嬉しいです!! 応援してます! (7月27日 1時) (レス) @page36 id: c33439ae2b (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - もしかして更新終了してしまいましたか…? (6月23日 23時) (レス) @page36 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
ペペのん - え……お…終わり!?でも、この作品とっても面白かったです!! (6月23日 18時) (レス) @page36 id: 97854132f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2023年3月23日 0時