「さっさと行きましょ〜」 ページ42
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「Aさぁん。一緒に食堂でランチ食べにいきませんかっ?」
不乱蔦さんからの突然の提案にホウキを落とした。
「超天変地異の前触れ?」
「あは、意味分かんないこと言ってないでさっさと行きましょ〜」
腕をグイグイ引っ張ってくる。
不乱蔦さんの力などミジンコ並みなので屁でも無いが一応唯一の後輩なので素直に引っ張られる。
つーかまだここ終わってないんだよな。
「午前中に終わらせる予定のとこは終わった?」
「終わってないけどランチの時間なので休憩入りまーす♡」
「不乱蔦さんマジで社会人になったらそういうの気ぃ使った方が良いからね絶対トラブルになるから」
今はバイトだから良いけどさ。
「皆さんお疲れ様でぇ〜す♡」
意気揚々と挨拶する不乱蔦さん。後ろからひょっこり頭を出して覗き込めば沢山の選手たちが昼飯を食べているのが見えた。
こんな時間に食べた事ないし食堂も使ってないから新鮮だなぁ。
選手たちは特に返す事なく遠巻きにチラッとこっちを見るだけだが、その背後に私がいるのに気付くと「えっ」って感じのリアクションを取っていた。
なんとなく居心地が悪い。
「私ぃ、最近食欲無くて〜〜。いっつもこんなんばっかなんですぅ」
そう言う彼女が持つトレーの上にはお洒落なサラダとスープ、小ちゃいパン一切れのみ。
ふむ。オシャレなOLさんのランチみたいだ。
「Aさんはどんなのですかぁ?やっぱ昼からガッツリいっちゃうんですか〜?」
そう言ってニコニコしながら見てくる不乱蔦さん。
何処からかたくさん視線を感じながらも、私も彼女の横に立つ。
「私もそうでもないかな」
いつものように懐からカードを取り出し、液晶画面に翳す。表示される私の名前と顔。
出てきた物を掴んだ。
「即効殺る気」と書かれた栄養補助ゼリー。
それの蓋を開け、その場で(立ったまま)飲む。
「これで終わり」
ゼリーの容器をグシャッと丸めてポケットに突っ込んでそう言ったら、不乱蔦さんの顔がこれでもかと歪んだ。
「社畜の朝飯かよ」
「えっ何て?」
「おかしいだろそれ!頭まで筋肉なのかよ!!」
「貧乏にも程がある食事」
「食細い30代女が夜シンクの前で食ってるみたいな既視感」
「おばあちゃん、ここにはたくさん美味しい物があるんやで〜」
「今発言した奴全員、顔覚えたからな」
全員私から目を逸らした。
遅えよ。
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サキ - Ich mag dich じゃなくてich liebe dich です!後は大体あってますけどich mag とich liebe は若干意味が違うので👾気を悪くさせたらすいません🥲 (2023年3月30日 0時) (レス) @page37 id: 1baf0b6a1a (このIDを非表示/違反報告)
ひっぴー - カイザーが最後に言ったドイツ語の文章翻訳したら「面白い…答えます、約束します。」って出たんだがどういうこっちゃ。あ、応援してます! (2023年3月24日 16時) (レス) id: a528653d7b (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年3月19日 19時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
融点(プロフ) - 第1部とても面白かったです。士道とカイザー推しなのでNnyさんと一緒でした👏🏻恋愛に発展しないのも込みで本当に私好みでしか無かったです。第2部楽しみにしてます。 (2023年3月13日 23時) (レス) @page50 id: 6f6f2e1e89 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 爪楊枝さん» 本当。もう癖になっちゃって自分の更新サボって何回も読んじゃう。二桁行ったのでこれからも読み続ける!(読んだ回数が) (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2023年2月6日 20時