「満足したかよ」 ページ46
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砕けた破片がその辺に転がった。
後で掃除するから良いやって能天気に思った。
「聞いてんのかよ」
頭から垂れた血を袖で拭いながら問いかければ、「ハハ、やっぱイカれてんね、Aちゃん」と粉々になったイスに目を向けてそう呟いた。
「ちょっと待ってろ、このクソアマ殺したら____ 」
聞こえないフリをして、奴の死角から重心を乗せたハイキックを後頭部に食らわせた。最早不意打ちとか知ったこっちゃない。先に暴れ散らかしたのはコイツだ。
蹌踉ながらもすぐさま反撃するべく飛び掛かってきた士道の蹴りを避け、腕を掴んだ。
無理やり体を反転させ、士道の重てえ身体を背負うように持ち上げ、床に叩き付ける。
____所謂「一本背負い」である。
肺から息を吐き出し思い切り咽せる士道の胸ぐらを掴み、握った拳を振り下ろす。
ドゴン!!!!!
地が割れたかと思うくらいの振動。
確実にこの場所で地動のような災いを齎した。
士道の顔面スレスレに振り下ろした拳を退ければ、コンクリートに穴が開いていた。
そしてヒビ割れたように地面に裂いた跡。
「ヤッバ……」
呆然と呟いた誰かの声にほら見たことか、とどこか他人事のように考える。
だから「後悔する」って言ったのに。
少しの間を置き、急に襲い掛かる脱力感。そして虚無感。
仰向けにひっくり返った士道の腹の上にドスンと座れば「ぐえっ」と潰れた呻き声を上げていた。
どうでも良くなって、スカートが翻るのも構わず胡座をかく。
「満足したかよ」
胡座をかいた膝の上に肘を立てて、心底面倒臭さを隠さず問いかける。
「ここって刃牙の世界だったっけ」
「もうAさんが範/馬勇次郎にしか見えねえ」
うるせえ。
「……いや、もう、絶/頂通り越してちょっと出た」
「うるせえ」
「Aちゃん、お願い、もうちょい後ろにケツやって、入れたい、入れて、Aの中に*したい」
「うるせえ」
足先で士道の頰を押し潰した。
お似合いだな。
「え、え、何そのプレイ」
「どうしたAさんキャラ変したのか」
「うるせえ」
「え、マジで前頭葉失ったん?」
何もかも面倒臭く思えてきた。
遠くで私を見て何か言ってる奴も。
何か言いたげに私を見てる奴も。
私の真下で興奮したように息を荒げる奴も。
私のことを常に悪者に仕立て上げようと奮闘してる奴も。
何もかもが鬱陶しい。
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【そんなしょうもねー事はさて置き】→←「ケンカはダメぇッ!!」
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サキ - Ich mag dich じゃなくてich liebe dich です!後は大体あってますけどich mag とich liebe は若干意味が違うので👾気を悪くさせたらすいません🥲 (2023年3月30日 0時) (レス) @page37 id: 1baf0b6a1a (このIDを非表示/違反報告)
ひっぴー - カイザーが最後に言ったドイツ語の文章翻訳したら「面白い…答えます、約束します。」って出たんだがどういうこっちゃ。あ、応援してます! (2023年3月24日 16時) (レス) id: a528653d7b (このIDを非表示/違反報告)
紅 - とっても面白いです!!続き楽しみにしてます! (2023年3月19日 19時) (レス) @page50 id: b3496c9ef0 (このIDを非表示/違反報告)
融点(プロフ) - 第1部とても面白かったです。士道とカイザー推しなのでNnyさんと一緒でした👏🏻恋愛に発展しないのも込みで本当に私好みでしか無かったです。第2部楽しみにしてます。 (2023年3月13日 23時) (レス) @page50 id: 6f6f2e1e89 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 爪楊枝さん» 本当。もう癖になっちゃって自分の更新サボって何回も読んじゃう。二桁行ったのでこれからも読み続ける!(読んだ回数が) (2023年3月13日 19時) (レス) @page50 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2023年2月6日 20時