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先輩たちと別れ、新入生が大勢集まってる方へと歩く。
視線を沢山感じたけど、今の僕には全く気にならなかった。
人混みに紛れ、仲良い人もいないのにどうやって楽しもうかな、なんて考えてたら肩をとんとんってされた。
振り向けば、全く知らない顔。
「(誰だろ……入学式の時こんな顔見たっけ)」
「なあ、お前って女か?」
……僕は今は寛大な男だから、名前も言わずに性別を疑ってくる失礼なこの人を許してあげようかな。
「僕は男だよ、間違えないでね」
君の名前は?って更に続けようとしたが、言葉は遮られた。
「うっそ、マジで!?こんなに可愛いのに!?うわ、ありえねー」
今のはブチ切れ案件だろうか。若干存在を否定された気がする。大体何なのだろう、この人は。
初対面の癖に失礼な口調で、無作法にも程があるんじゃないだろうか。
「(1発魔法でぶちかましても怒られないかな)」
いや、もしかしたらリドル先輩に多大なる迷惑をかけてしまうかもしれない。それは避けたい。
どうしたものか、と悩んでいると、突然後ろから声が聞こえた。すぐ側から。
「おい、それは失礼だろう。今すぐこの子に謝るんだ」
そう言って僕の背後から出てきて、僕を守るかのように背中に隠すのは、スペードマークくんだった。マーク全部コンプリートしたな、なんて現実逃避をしてしまう。
「は、はあ!?俺は可愛いって褒めただろうが!」
「(あーやっぱりそういう思考の持ち主でしたか)」
「──だろ」
「え?」
ぼそ、と呟いたのが聞こえ、思わず聞き返す。
「男ならっ誰だってカッケェって言われた方が嬉しいに決まってんだろ!!!!」
「ひぇ」
声がすごくて、小さく悲鳴が零れた。でも、この人の真っ直ぐな言葉が嬉しい。しかも、そんなことを言ってくれるのは初めてだった。
「(今日は初めてがいっぱいだ)」
スペードくんの大声に皆気がついたのか、辺りがざわめく。こんなんじゃ、結局リドル先輩にバレて迷惑をかけてしまうんじゃないか、そう思った時には遅かったらしい。
「──これは一体なんの騒ぎだい?」
「りょ、寮長……」
すごい、リドル先輩が一言発するだけで、さっきの人も狩られる小動物のように震えてしまった。今回は僕も狩られる対象な為、同様に震えているのだが。
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棗(プロフ) - ロイミーさん» いえいえ!こちらこそこんなに面白いお話を読ませていただかせて本当にありがとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます。 (2020年5月23日 7時) (レス) id: bb5b41793a (このIDを非表示/違反報告)
ロイミー(プロフ) - 棗さん» わざわざありがとうございます!パソストのあの部分声に出してると思ったのでその描写をしたのですけどやっぱり変ですかね……色々修正してみます…。貴重なご意見ありがとうございました! (2020年5月23日 1時) (レス) id: 6a770a8d65 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 結構最初のエースが鏡の前にたっているところです。さすがにお兄ちゃんのことまでは読唇術では読み取れないのではないか…と思いまして、、、考えすぎだったらすいません(><) (2020年5月22日 21時) (レス) id: bb5b41793a (このIDを非表示/違反報告)
ロイミー(プロフ) - 全然大丈夫です!^^* ご指摘の件ですが、1度自分で全部目を通してみてもわからず、どこの部分か教えて頂いてもよろしいでしょうか……?? 更新嬉しみにして頂けて嬉しいです! (2020年5月22日 20時) (レス) id: 6a770a8d65 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 文句を言っているようで申し訳ないですが、読唇術ではさすがに心までは分からないのでは無いのでしょうか?実際口が動いてなければ何もわからないですし…それならば読心術の方が良いのでは、と思ってしまいました。更新楽しみにしてます。 (2020年5月22日 19時) (レス) id: bb5b41793a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロイミー | 作成日時:2020年5月15日 19時