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そんなことを考えながら、クローバーさんに名前を述べる。
「えっと、A・アムールです。よろしくお願いします」
「俺はトレイ・クローバー。ハーツラビュルの副寮長だ。よろしくな」
「(本当にクローバーさんだった……名前で決めてるのかな)」
僕もマークを付けるのかな……と思って頬をぺたぺた触る。
付けるってなったら何になるんだろ、ハート?スペード?ダイヤ?クラブ?
そんな先のことを考えてワクワクする。
「そだそだ、出会った記念に1枚撮ろ!イェーイ!」
「えっ?」
「おい、ケイト!」
急にそんなことを言ったかと思えば、グイッと腕を引かれ、先輩達との距離が縮まる。
「(今日で腕引かれるの何回目だろ)」
どうでもいいことを考えながら、カメラを向けられたから愛想よく笑う。
パシャリ!
「うんうん、めっちゃ盛れてる!ほら2人とも見て見て!」
そう促され、ケイト先輩のスマホを覗き込む。
「わぁ…すごい!ケイト先輩、写真撮るの上手なんですね」
「あはは、慣れだよ、慣れ。でもこのAちゃんかわい───あっ」
「(また可愛いって言いかけた……)」
ケイト先輩は明らかにしまった、という顔をした。その反応を不思議に思った僕は、思い切って聞いてみようと口を開く。
「ケイト先輩、さっきも可愛いって言いかけましたよね?あの、なんで言わないのかなって。えっと、言って欲しいわけじゃないんですけど。珍しいっていうか、初めてだったから」
「あー……やっぱりバレてた?」
彼はあー、とかうー、とか言葉をつまらせながら、視線をさまよわせた。
「……実はさっきリドルくんにね、『彼は女性として見られるのを酷く嫌っているようだから、失礼のないようにね』って言われて。だから可愛いとか言わない方がいいんだろうなって思ったんだけど……」
聞けば、彼の家は可愛いかどうか尺度だったんだとか、初手で可愛い系を出す癖がついちゃってるんだとか。
だから可愛いって言っちゃうのかな……
僕もお母さんがそうだったから、ケイト先輩の気持ちが分かった。
「う〜〜、ごめん。Aちゃん可愛いって言われるの嫌だったよね」
ここまで真摯に謝られたのが初めてだからか、怒りは湧いてこなかった。悲しくもない。だから、僕はほぼ無意識に言った。
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棗(プロフ) - ロイミーさん» いえいえ!こちらこそこんなに面白いお話を読ませていただかせて本当にありがとうございます!これからも更新頑張ってください!応援してます。 (2020年5月23日 7時) (レス) id: bb5b41793a (このIDを非表示/違反報告)
ロイミー(プロフ) - 棗さん» わざわざありがとうございます!パソストのあの部分声に出してると思ったのでその描写をしたのですけどやっぱり変ですかね……色々修正してみます…。貴重なご意見ありがとうございました! (2020年5月23日 1時) (レス) id: 6a770a8d65 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 結構最初のエースが鏡の前にたっているところです。さすがにお兄ちゃんのことまでは読唇術では読み取れないのではないか…と思いまして、、、考えすぎだったらすいません(><) (2020年5月22日 21時) (レス) id: bb5b41793a (このIDを非表示/違反報告)
ロイミー(プロフ) - 全然大丈夫です!^^* ご指摘の件ですが、1度自分で全部目を通してみてもわからず、どこの部分か教えて頂いてもよろしいでしょうか……?? 更新嬉しみにして頂けて嬉しいです! (2020年5月22日 20時) (レス) id: 6a770a8d65 (このIDを非表示/違反報告)
棗(プロフ) - 文句を言っているようで申し訳ないですが、読唇術ではさすがに心までは分からないのでは無いのでしょうか?実際口が動いてなければ何もわからないですし…それならば読心術の方が良いのでは、と思ってしまいました。更新楽しみにしてます。 (2020年5月22日 19時) (レス) id: bb5b41793a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロイミー | 作成日時:2020年5月15日 19時