3日目 ページ10
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朝練を悠々と終え、1時限目と2時限目を空腹に耐えながら過ごし、今は3時限目。
世界史なんて眠くなるだけやからぼーっとパラパラ教科書を捲ってると、世界三大美女なんて言葉が出てきた。
(3人の顔を実際見たわけでもなんでもないけど、やっぱりAさんの方が美人なんとちゃう?おん、世界四大美女のがええわ)
え、そんな美人な子と俺ほんまに遊園地行くん?デートやん???そや、今日のお昼ん時Aさんにその話せなあかんな。
待ち合わせ場所やら、集合時間やら。決めなきゃいけないことがたんまりとあるのだ。お昼の時間だけで決めきれるだろうか。
(ま、決めきれんかったら夜にでもLINEで決めればええか)
そう考えて、また視線を教科書から窓の外へ移す。
そ、夜にでもLINE────
夜にでも、LINE…………????
「あ"ぁっっ!!!???」
スラックスのポケットから、慌ててスマホを取り出してLINEを開く。いくらスクロールしても、ない。彼女の名前が、ない。
(俺、AさんとLINE交換してへん……!!!!!)
ここに来てとんでもない事に気づいた。よし、今日のミッションはLINE交換することや。俺ならできる俺ならできる!
そう意気込んで前を向けば、教室中の視線が自分に集まっていることに気がつく。
「治ぅ〜、急に大声出してどないした?窓の外に好きな子でもおったか?」
「はっ!!??そ、そんなんとちゃいます!!!」
教師のからかうような声音に、思わずまた大声で反論する。教室が笑いに包まれて、羞恥心に襲われて顔を手で覆った。
(今だけはAさんが同じクラスやなくて良かった…!!!こんな恥ずかしいとこ見られてたら死ぬわ!!!!)
「ね、やっぱり治くんの好きな子てAさんなんかな〜」
「あ〜、最近よく見るよな」
そんな教室の端の女子のひそひそ話から始まって、Aさんって言えば、という空気が教室に広がっていく。教師はもはや苦笑いだ。
「あ、Aさんといえば!」
「なになに?」
「なんか一時期角名くんと───────」
(……角名と?)
ガタッ
「せんせー、授業続けてもらってもいいですか」
「ん、おぉ。すまん続けよか」
クラスの誰かが呟いた名前を神経を尖らせて盗み聞こうと試みるが、それは当の本人に遮られて失敗に終わってしまった。
(やっぱ、気になる)
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クロイルカ - 渚さん» わかるきになります (2022年10月8日 8時) (レス) @page21 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 結局角名と夢主との関係ってなんだったんですか? (2022年9月13日 22時) (レス) @page15 id: 4b6b08afa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロイミー | 作成日時:2020年10月25日 12時