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「お兄ちゃん、ご飯やって。早う出て来ぃ」




コンコンコン、と3回ノック。もう1回呼びかけてみるが、反応がない。訝しげにドアを見つめ、仕方なくドアノブをひねる。





「お兄ちゃーん、いつまで寝てるん。いい加減起きてや」





お兄ちゃんのベッドに腰掛け、体重をかける。すると少し呻き声が聞こえて、「重い……」と微かに呟いた。失礼な。







「ん……今何時………」

「もう夜の8時!一日中寝てたん?部活ないからって怠けてたら、あっという間に体鈍るで」

「何この妹可愛くない………」







お兄ちゃんがベッドからもそもそと起き上がって部屋を出ていくのを見届けてから、私も自分の部屋へ向かう。






ササッと着替えを用意してから、洗面所の鏡に映る自分を見つめた。





(今日の私は、治くんの目にはどんな風に見えてたんやろ)






今日の朝、学校では下ろしている髪を珍しくまとめた。なんでやっけ、ギャップ萌えってやつ狙ってたんかな。







体を洗ってから湯船に浸かって、冷えた体を温める。ほんわりとした湯気に包まれながら、今日の出来事に思いを馳せた。







(治くん、私服お洒落やったなぁ。エスコートみたいなんもしてくれて、めっちゃ優しかったし………あんな人の彼女になる子は幸せやろうな)







ふと、昼間まで温もりを感じていた左手を眺める。不意に手が離れた瞬間、私は寂しいって思ってしもうた。なんであんなこと思ったんやろ。

考えても皆目見当もつかない。







手をぎゅっと握ったり、名前で呼んだり、視線が交わったらお互いに照れくさそうに笑ったり……



恋人同士、みたいやわ。







そんなことを考える自分が恥ずかしくなり、お湯の中に潜った。そんなん失礼やん。治くんは友達として誘ってくれたわけで………







『好きな子と2人きりで出かけるんやから』







ふと、治くんのその言葉が頭をよぎった。








……こんなん、意識すんなって方が無理やろ。でももし本当に、治くんの好きな人が私やったら。


























私も素直に、なれるかな。

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クロイルカ - 渚さん» わかるきになります (2022年10月8日 8時) (レス) @page21 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 結局角名と夢主との関係ってなんだったんですか? (2022年9月13日 22時) (レス) @page15 id: 4b6b08afa8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ロイミー | 作成日時:2020年10月25日 12時

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