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Aside
(なんでかな、今日の私変かもしれん……)
隣を歩く治くんのことをいつもより意識してまう。繋がれて熱を持った左手のせいやろうか。
顔は熱いし、心拍数はどんどん上がる。チラッと横目で彼の様子を伺えば、目が合って微笑まれた。
そんなことにもいちいちドキッとしてしまう私に対して、治くんは随分余裕そうやなぁと思いながらそのまま視線を逸らさずにいれば、視界の端に暖かい赤が映った。
(……え、治く、耳………真っ赤、や………)
心做しか手汗もかいている、気がする。それなのに全然不快に感じられなくて、むしろ何となく嬉しささえ感じる。
少し力が緩んでいた指先にキュッと力を込めれば、治くんの肩が勢いよく揺れて、こちらに顔を向けた。
(治くん、顔まで真っ赤んなった……………
………あかん、恥ずかしい!)
意識せざるを得ないこの状況で、冷静にいられる女子がこの世におるんやろうか。少なくとも、私はさっきから治くんのことを意識しっぱなし。
(こんなとこ誰かに見られたら、確実に勘違いされるやろな……)
そうは思いつつも、繋いだ手を離す気にはなれなかった。
(ずっと、このままでいたい……)
口には出していないのに、そんなことを思っていた自分に驚いて、慌てて口を押さえた。
え、私今なんて思った??このままでいたい???そんなん、まるで………
「Aさ……A、どうかしたん?顔、真っ赤やで」
「…ぇ、あ」
自分だって真っ赤なくせに、敢えてそう指摘して悪戯っぽい笑みを浮かべる治くんに、胸の奥が高鳴る。
(こんなん、ほんまに……
……治くんのことが好き、みたいやんか)
知り合ったばっかなんに、おかしいよな。
だから、多分勘違いや。
そう思い直して、通常よりも早く感じる鼓動を知らんぷりしながら、遊園地を全力で楽しんだ。
.
「ただいまぁ」
「おかえり、遅かったなぁ。帰り大丈夫だったん?」
「おん。友達が送ってくれたから」
家では、お母さんが夕食の用意をしとった。いい匂いに食欲をそそられるが、先程外で食べてきたことを思い出す。
「夕飯は?」
「ええわ、お風呂入ってくる」
「ならついでにお兄ちゃん呼んできてくれん?」
「はぁい」
適当に返事をし、部屋がある2階へと階段を上がった。
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クロイルカ - 渚さん» わかるきになります (2022年10月8日 8時) (レス) @page21 id: dc34629a9d (このIDを非表示/違反報告)
渚(プロフ) - 結局角名と夢主との関係ってなんだったんですか? (2022年9月13日 22時) (レス) @page15 id: 4b6b08afa8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ロイミー | 作成日時:2020年10月25日 12時