4……おついちさんside2 ページ26
お互いの電話番号を交換してその日の内に電話を掛けた。
たったの30分だったけどお互いに次の日は仕事、話せただけでも進歩だと流石にここは身を引いてベッドに入った。
あの日から毎週日曜日の夜中、僕たちは通話しあっていた。
長くても1時間と決めてゲーム以外でも毎週楽しみにしている時間だったのに、今日のAさんは何かを隠して僕と話している。
声だって今にも泣きそうなのにいっこうに話してくれず、嘘まで吐かれる始末。
「……何もないことないけど、言葉にできないときってある」
「……結構仲良くなれたと思ったんだけどなぁ。俺寂しい」
「ふふ、嘘つきさん」
我慢の限界だった。
僕は何も嘘などついていない。吐いているのは君だと言いかけ我慢した。
そう言うのはあまりにも図々しいと思ったから、代わりに一歩踏み出して君に会いたいと言ったのに。
Aさんは逃げた。
切られなかっただけましか。
いや、これの以上の踏み込みはヤバイ。
そうは思うもAさんの懺悔を聞いた瞬間、僕はホテルを飛び出しAさんの家だと思われる場所まで走った。
気持ち悪くても良いから、Aさんが一人で泣くのは我慢できなかった。
家の前まで来てふと立ち止まる。インターホンが押せなくなるほど僕の身体が緊張してしまったのだ。
どうしようもない理由で戸惑っていると、タイミングよく鳴ってくれたサイレンに不謹慎ながら感謝した。
ことの事態に気づいた君は驚きと歓喜を混ぜた複雑な表情を浮かべ勢いよくその扉を開く。
僕はただ何も言わず腕を広げて待った。
それを合図に玄関から飛び出し抱き僕の肩に顔を沈めた。
君の隠された想いを今だけは何も言わず抱きしめ返す。きっとこの想いは語れば埋められると思うから、今だけは黙っていよう。
誰よりもAさんを知るために。
〜fin〜
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作者名：nnanjokei | 作成日時：2018年4月4日 15時
