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怖くなって、一方的に電話を切ってしまいかけたのは内緒のはなし。
だって、寂しいって私はなんでもない。
しつこいようだがおついちさんには恋人がいるって巷では噂で、真実を知りようのない私はその噂に踊らされるしかなくて。
今、凄く爆発しかけている。
「明日、仕事終わり時間ある?……会いたい」
「……え」
私はおついちさんの家を知らない。
けどきっと東京方面で私は……。
距離云々の話ではない。
一ファンである私に会いたいなんて……自惚れてもいいのかな。
自惚れはしないけど。
怖いから、当たり障りのない嘘をついて丁重にお断りした。
逃げたのだ。
おついちさんから送ってくれたチャンスを棒に振った。
どこまでもバカでガキでどうしようもない私を、誰が許せよう。
「俺が、許すよ」
「……」
近くで救急車のサイレンが聞こえた。
電話からも同じタイミングて聞こえてくる。
まさか。
なんて考えることもなく、向かった先は玄関。
開けると男の人が電話を片手に立っていた。
「……ごめんね。怖いよね。でも、君が泣いてると思ったら帰れなかった」
私よりも泣きそうな顔をしているおついちさんに思わず抱きついた。
理由なんて要らない。
ただの友を心配したおついちさんでもいい。
今はそれでも安心するから。
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時