Happy birthday!……おついちさん ページ22
もうすぐ夜中の12時が来る、日付が変わる瞬間。
なのに、あの人は作業部屋に籠ったきり出てきやしない。
何、毎年。否、毎日のことだから。
だから特別な手料理は今年はせず、今日だけはただただゆっくりしてほしい想いで珍しいおついちさんからのお誘いを全て断ってゆっくりしようって言ったのに。
それっきり作業部屋に籠るなんて。
「……」
気づけば日付は変わり、リビングと作業部屋を繋ぐ廊下を隔てる入り口には扉はなく、代わりにおついちさんが寄りかかっていた。
「……」
「……ビックリした。どうしたの?」
「今日、何の日か覚えてる?」
どこかご立腹のおついちさん。
いやいやいや。
キレたいのは私の方で、当然今日はおついちさんの誕生日だって覚えていて、何よりさっきまで部屋に籠ってたくせに今さらなに言ってるの。
なんて、思うだけで何故か言葉にならなくて、涙がたくさん溢れてくる。
そんな私を今度は心配してくれるから嫌いになりきれない。
「お誕生日、おめでとう」
「……ありがとう」
ただ、毎日を笑って過ごせたらそれでいい。
そんなことは言えないけど、少しでもおついちさんとの距離を縮めていきたい、長くいたいとは思うから。
無茶な生活は控えてほしいのが、あなたに一番言いたい言葉です。
〜fin〜
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時