傷……弟者さん……弟者さんside ページ18
仕事終わりに一言、Aにメッセージを送る。
「今日はラジオの日なので先に俺たちの家で待っててください」
送信完了を告げる簡素な音が兄者待ちで一人きりの車に木霊する。
誰かと撮影をするようになってできた隙間時間が俺は何気に好きだったりする。
ただ黙って外を見ながら相手を待ってるのもよし、ゲームのことを考えるのもよし。
結局は何かを考える時間にはなるけど、考えてるとやっぱり相手のことやゲームが心底好きなんだなって実感できるから好きなんだ。
「……早く、会いたいな」
Aのことを考えて今すぐに会いたくなるのもいつものこと。
しかし最近は会いたい衝動がいつにも増して強く、時々Aを怖がらせてしまう時がある。
何がきっかけでここまで執着するようになっただろう。
考えて一つ思い当たるのは、そこまで酔ってないAが最近行われた同窓会の帰りに同級生だろう相手に送ってもらってきたことだろうか。
何処か困ったような表情で帰ってきたのを今でもはっきりを覚えてる。
この時は流石に初対面だし邪険には出来ない、と人当たりの良い態度で接することができたと思う。絶対の自信は無いけど。
相手に肩を抱かれて帰ってきたAが、横にいた男が、不覚にもお似合いだと自覚したから。歳を気にするなんて柄じゃないけど、六つも歳の離れていると不安でたまらなくなる。
思考の沼にハマっていると、気づけば兄者が助手席にいて叫んだのは言うまでもない。
「携帯、メール来てたぞ」
「えっ嘘!!」
慌ててロック解除しようとするからなかなか開かない。
漸く開いて確認するとAからの了解メール。
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時