3……おついちさんside ページ14
最後に、謝りながら眠りに落ちる君を、僕は自身の心の安寧のため、起こさないようにと気を付けながら強く抱き締める。
別れようからの好きな人ができたって、思い返しても笑えるくらい幼稚なトラップだって気づいていたのに、いざ口を開くと醜い嫉妬が見え見えになる。
もう大人だと思ってた僕も、まだまだ青二才だって、今回の件をきっかけに気づかされる。
「本当に……泣かす気はなかったんだよ」
狂喜と恐怖。
力で捻じ伏せるのは人として良くないってわかってるのに、夏希のあの恐怖色に染まった目を思い出すと癖になりそうな快楽が全身を包む。
乾いた笑い声に、頬が濡れ夏希の頬をも濡らす。
「すき、だから。泣かないで……」
涙に濡れた頬に気づいた夏希が、酷く後悔したような表情で僕をあやしてくれるから、さっき抱きしめた分のお返しにとばかりに君の手に頭を擦りつけ、心を落ち着かせる。
「……ん、ありがとう」
「……」
落ち着いて少しずつ戻ってきた余裕を、抱きしめ伝えることでようやく笑顔になる夏希。
今日の出来事は何も辛いことだけじゃなく、正直知りたくもなかった意外なことを気付かせてくれた。
それはもう腹が膨れるほどに。
けどこれからもこの年の差というジレンマを、僕のエゴで君が味わい続けるのは変わらない。
だからそんなジレンマを、これまた僕のエゴで解けるような甘い時間で帳消しにしていくんだ。
〜fin〜
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作者名:nnanjokei | 作成日時:2018年4月4日 15時