不器用な人……おついちさん ページ1
私の彼氏いない歴は、年齢と比例する。
今年もまたそれは更新されるが、私はあえて気にしない。……気にしない。のが一番だと思って今日まで過ごしてきたのに。
「……何故」
「何故って。おついちさん、ちゃんと言ったよ？！」
「聞きました。聞きましたけど、本当に来るなんて思わないじゃないですか」
そう、私はちょうど一週間前。
会社の上司の友達のおついちさんに告白されていたのだ。
でもどうせ冗談か、はたまた色の違うものと遊びたいのだろう。そう思って断った。
それなのに、大晦日にAさんの家に行くから。なんて。
強引にも程があるが、どうせ誰にも教えていたいからこられないだろう。と高を括って了承した。
それが全ての間違いだった。
「なに食べたい？僕、なんでも作れるよ」
少し微笑みながら、ほほ杖をつき、まっすぐこっちを見て問いかけるおついちさん。
その笑顔が、いつもみたいな誰にでもする愛想笑いじゃないことに気づいた。
「……冷蔵庫、何も入ってませんよ」
「わかってる。だからメニュー決めたら僕とお買い物ね」
至極嬉しそうに笑う彼を、段々と邪険にできなくなっていく。
そんな彼の魅力に、怖くならないわけもなく。私は必死に彼との距離を広げることだけを考えた。
「トマト、リゾット……」
「作れなくはないけど……それ、僕が嫌いだって知ってて言ってるでしょ」
風の噂で聞いた程度の知識でも、おついちさんにダメージを与えられてるはずなのに、さらに輝いていく笑顔。
おついちさんが何を望んでいるのかまるっきりわからない。
「Aさんさぁ、本当に純粋だよねえ。今だってどうして僕がこんなに嬉しいと思ってるかまるっきりわからないって顔してるもん。……教えてほしい？僕がどうして嫌なことされてるのに嬉しそうなの」
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作者名：nnanjokei | 作成日時：2018年4月4日 15時
