……2(注意)軽い性的表現が含まれます。 ページ28
断りかけて徐に倒されるシートに、思わず隣で運転していたはずの兄者さんを凝視したのは状況が把握できていないから。
そんな私を見向きもせず、顔色を一つも変えないままいつもよりゆっくりとした動作でシートベルトを外していくだけ。むしろ表情はいつもより冷たいような気すらする。
そんな兄者さんから無理矢理に現状を把握するより、兄者さん越しに見える窓の外からの方が何かを得られると視線の先を変える。
車は当然道路わきに止まり、場所はきっとまだまだ自身の家からも、まだ行ったことのない兄者さんたちの家からも遠い。
いったい何をされるの？なんて思うほど初心でもなく、急いでシートベルトを外しにかかる。
「俺から逃げられるわけねえだろ」
あと少しでドアを開け、外に出られたのに。
寸でのところで腕を掴まれ、頭上に一括りに纏められる。
流石にこれ以上は踏み込ませたくない思いで暴れた私を、兄者さんはアッサリと止めた挙げ句私の腹部へ馬乗りになった。
「……なあ、少しは自分が女だって自覚持てよ」
右耳に向かってわざといつもより低く囁き、スーツの上からボディラインを確かめるように、粘っこく触ってくる兄者さんの手を、憎々しげに見つめるだけの私。
「……にぅッ！！」
ふいに舐められた耳。
執拗に裏も、中も舐められ水音が脳内にまで響く。
「おいおい腰、揺れてるぞ」
指摘され、今までの比にならないくらい顔が熱くなり腰を必死に止めようとするのに、焦れったいくらいのゆっくりとした愛撫にいやでも揺れる腰が酷く恨めしい。
「……ッあ！」
ただ、子宮のあるところに腰を押し付けられただけなのに。
それだけで霰もない声をあげ、もう、涙が止まらなかった。
一定のリズムで突かれる腹部。
抵抗する気が失せるほど、感じてしまっている自分が恥ずかしかった。
「……いいな、その顔」
反らして逃がした顔を、意図も簡単に捕まえた兄者は酷く興奮した顔で躊躇もなく口づける。
この人は悪魔だ。
自分が何をしたのかわからないままに起こる出来事から逃げるように、私は意識を手放した。
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作者名：nnanjokei | 作成日時：2018年4月4日 15時
