わたしのオキテ (ページ33)

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左手のピンキーリングの話ページ33

安嶋「Aさ、ずっとその指輪つけてるよね」
「？あ、これ？」
安嶋「うん、2年前くらいからつけてる気がする」
「えー、あじよく見てるね」
安嶋「そりゃ見ちゃうよ、アクセサリーそれくらいしか付けてないじゃん」

多分みんな気になってると思うよ、なんて言いながらわたしの顔を見るあじはいつになく真剣な表情だった。

ピアスの穴も開けたはいいけれど、穴が塞がらないように透明のピアスをつけるだけで可愛いピアスを普段からつけるわけでもないし、そもそもアクセサリーにお金をかけるタイプではないわたしだけど、唯一このピンキーリングだけはあの日から仕事でアクセサリーを外さなきゃいけない時以外はずっとつけている。

付け始めた頃は「彼氏！？」なんてみんなに騒がれてたけど、違う違うって否定だけして何も言わずにいたらもう誰も聞いてこなくなった。

安嶋「ピンキーリングっていうの？可愛いね」

わたしの手を取ってマジマジと小指を見つめるあじにちょっと恥ずかしくなり、振りほどくとごめんごめんって謝られて。

「これね、ジャニーさんが17の誕生日の時にくれたんだ」
安嶋「ジャニーさん？」
「うん。今思うと最後の誕生日プレゼントになっちゃったけど」

ジャニーさんの名前を出すと、納得したように笑うあじ。

「わたしが結婚して、誰かに左手の薬指に指輪をはめてもらうまで、この指輪をはめてほしいって、渡されたんだぁ」

ジャニーさん、わたしのこと大好きだから。そう言って笑えばあじも、ジャニーさんなりのプロポーズみたいだねって。

「ジャニーさんが亡くなってから、余計外せなくなっちゃった。ジャニーさんが、近くにいてくれるような気がして」
安嶋「…うんうん、」
「だからジャニーさんが言ってた通り、結婚するまでは指輪(この子)にここにいてもらおうかなぁって」

赤の他人を愛して、家族になる未来なんてまだ遠い未来のようで想像も出来ないけど

安嶋「…じゃあ、Aの薬指は俺が予約しよっかな？」
「っえ」
安嶋「なんてね、」

半分本気だよ、と頭を撫でて楽屋から出て行ったあじの顔がいつもより少しだけ赤かったのはきっと気の所為だろう

@左手のピンキーリングの話
(あれ、あじなんで顔赤いの？)
(！？…なんでもない！)
(変なあじ…)

(Aなんで机に項垂れてるの？)
(なななななにが！？)
(え、なんでそんな挙動不審なの怖いんだけど)

［req 安嶋くんにどきどき］
ありがとうございました！