万能vs常闇 ページ31
___『皆...本気でやってる。勝って、目標に近づくために......っ一番になるために！
半分の力で勝つ！？まだ僕は、君に傷一つつけられちゃいないぞ！
全力でかかって来い！！』
轟くんに向けてデクが放った言葉。私は、控え室で一人、それを思い出していた。
｢全力、か｣
あの言葉は、別に私に向けられたものではないのに、ひどく私の心をえぐった。
そうだ。皆、目標の為に本気なんだ。デクの言ってくれた皆にはきっと、私も含まれている。
けどそれは、デクの買いかぶりなだけだ。
別に私は、今更自分を曲げるつもりはないし、これからもヒーローになるために努力していく。
私は、デクやかっちゃん、皆と一緒にヒーローになって、自分の生き方が間違っていないと証明するために、ここにいるのだから。
なのに、
｢今更迷ってどうすんだよ...｣
誰に問いかけるわけでもなく、そうこぼした言葉は、静寂の中に消えていく。
｢万能くん！次、君の番だぞ！！｣
控え室のドアを思いっきり開けて入ってきた飯田くん。
｢そう。じゃ、行くか。飯田くん、二回戦どうだった？｣
｢勝ったぞ！レシプロバーストで背を取り、場外さ｣
｢そっか。おめでと｣
｢万能くんも頑張りたまえ。相手は常闇くんだからな、手強いぞ｣
｢...うん。ありがと｣
そう言い、私は部屋から出ていく。確か、"個性"は『
『さぁ次だぜ！？どっちもメッチャ"個性"が強い！熱い戦いになりそうだ！
万能vs常闇！！ START！』
｢
常闇くんの操る
予想が合ってれば多分...
｢(パチンッ)『
その様子で確信を持ち、自分の右手を握りしめる。それと同時に、円状の光は中心に向かって収縮し、
身動きが取れないのを確認した私は、常闇くんに素早く接近し、背後から"個性"で、刃物に形を変えた手を首筋に当てた。
｢...知っていたのか｣
｢いや？単なる予想。日向の人間がいれば日陰の人間もいる。暗闇にいる人間にとって光は嫌だからね。...ま、今回は意思を持った"個性"だけど｣
私は表情を動かさずに淡々と言った。
｢...参った｣
｢常闇くん降参！万能さんの勝利！万能さん三回戦進出！！｣
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
