瀬呂vs轟 ページ19
『お待たせしました！！続きましては〜こいつらだ！』
ふぅ...なんとか間に合った。
何かまた飯田くんが遅いって言ってるけど気にしない気にしない。←
『優秀！！優秀なのに拭いきれないその地味さは何だ！ヒーロー科、瀬呂範太！！vs2位、1位と強すぎるよ君！同じくヒーロー科、轟焦凍！！』
｢まぁー...勝てる気はしねーんだけど...｣
そう言いながら瀬呂くんはテープの個性で轟くんを巻きつける。
｢つって負ける気もねーー！！！｣
『場外狙いの早技！！この選択はコレ最善じゃねえか！？正直やっちまえ瀬呂ー！！！』
｢悪ィな｣
その瞬間、防衛本能だろうか。私の脳内が危険だと警報を鳴らし、ほぼ無意識に"個性"を発動させた。
キインｯ
轟くんがものすごい大きな大氷壁を瀬呂くんに向かって発動させていた。
『おおっ！おーーー！？なんと万能A！観客席で"個性"使って轟のドでかい氷を防ぎやがったー！チート野郎が！！だがおかげで観客は無事だーー！！』
｢こりゃ、やり過ぎでしょ...｣
観客にギリギリ届きそうなほどまで伸びる氷に、私は冷や汗をたらし、思わず顔がひきつる。
｢あ、Aちゃん...｣
｢？デク、どうし...ｯ！｣
今更ながら気づいた。個性でこっち側の観客全体にシールドを張ったため、観客の視線が嫌でも集まっていた。
いくらほぼ無意識とはいえ...私はすぐさま"個性"を解除し、フードを深く被る。
｢最悪っ...｣
｢瀬呂くん...動ける？｣
｢動けるハズないでしょ...痛ぇ...｣
｢瀬呂くん行動不能！！｣
｢どんまーい...｣
観客席はドンマイコールが沸き起こった。
｢すまねぇ...やり過ぎた。イラついてた｣
...何故だろう。自身が凍らせたのを左手で溶かしていく彼の姿が...悲しくてしょうがない。
彼の境遇とは全然違うはずなのに、あの時の記憶が、私の頭の中にちらついた。
｢轟くん、二回戦進出！！｣
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
