お話 ページ18
結局、デクが自身の指を爆発させたことで、デクが形勢を立て直し、心操くんに背負い投げを決めて場外にする形で、勝負はデクの勝ちに終わった。
そして、今私は、次の轟くんと瀬呂くんの試合が始まる役10分前、ある人の控え室前で待っていた。
｢！...お前｣
｢やっほ、心操くん。良い試合だったよ｣
彼を、待っていた。
｢...何のようだ｣
｢あ、えっとまずは...この前はごめんね。
私、あの時イラついてて挑発まがいのことしちゃって...いやもう、悪い癖で...｣
｢...別に、気にしてない。そんなことの為に待ち伏せしてたのかよ｣
早く用件を言え、と目で訴えられた。
｢いや、そうじゃなくてさ？
ちょっと、お話しようと思って｣
｢話...？｣
｢君の"個性"のこと。良い個性だね。凄かった｣
｢あんたの"個性"より凄い奴は早々いないだろ...バカにしてんのか｣
私は苦笑いを浮かべた。
｢いやいやまさか。
.........敵向きの個性｣
｢！？急に何を...｣
｢そんなこと気にせずヒーローを目指そうとしている君を、実のところ私は、心から尊敬しているんだよ？
...私だったら、耐えられない｣
無意識に声が暗くなる。
｢誰しもだって、使い方によっては敵向きの個性。それが君のは、一般的な考えならそういうふうにたどり着くってだけの話。
気にやむ必要なんかないよ｣
｢...何が言いたいんだよ｣
｢君には、ヒーローの素質があるってこと。それはさ、私には無いものなんだ。
私は、どこまでいっても根っこは.........ｯ｣
思わず、口を抑え、最後に言おうとした言葉を私はのみ込んだ。
今、何を言おうとしたんだ私ｯ...
これを言ってしまったら私は、認めたも同然になってしまうのに、何で今更...ｯ
心操くんが不思議そうな表情でこちらを見ているのに気づいて、気持ちを切り替える。
｢...とにかくさ、君はきっとヒーローになれるって私は期待してる。
だから、ちゃんとヒーロー科来なよ？
けっこう、楽しみにしてるんだから｣
そう言って、ほんの少し頬を緩ませると、なぜか彼がほんのり顔を赤くさせた。
｢？...大丈夫？疲れちゃって熱でも出た？｣
｢い、いや//...何でもない。
というか、もうすぐ二回戦目始まるぞ。いいのか？｣
｢え？あ...やばい、行かなきゃ。
...じゃあね、心操くん｣
私がその場を立ち去ろうとすると、｢なぁ｣と声をかけられた。
｢緑谷って、すげぇ奴だな｣
｢！...うん。私の、大好きなヒーローだから｣
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作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
