表彰式 ページ42
｢それではこれより！表彰式に移ります！｣
うわぁ、人がいっぱいで嫌だ。逃げたい。
けどそれよりも...
｢何アレ...｣
｢起きてからずっと暴れてんだと。しっかしまー...｣
｢んんーーーっ！！｣
｢締まんねぇ１位だな｣
まったくその通りです、切島くん。
かっちゃんは起きた途端、私や轟くんに襲いかかってきて、暴れまくってしまい、身動きを拘束されていた。
｢あー、かっちゃん、怖いよ？特に顔が。←
今人いっぱいいるんだから...｣
｢んーー！！｣
落ち着いてもらおうと声をかけたが、逆効果だった。せっかく親切心で言ってあげたのに...
まぁ、そう言う私も、表彰式なんて目立つし、大衆の前に改めて出るのも嫌で逃げようとしたのだけれど...
途中相澤先生に見つかり、逃げるなよ...？と目で訴えられて渋々諦めた。←
かっちゃんは私を睨み付けたあと、轟くんにも何か言っている。
こりゃもう、何言ってもダメだな、と私は諦めた。
｢3位には、万能さんともう一人飯田くんがいるんだけど、ちょっとお家の事情で早退になっちゃったのでご了承下さいな｣
飯田くん...
デクに聞いた話によると、お兄さんが敵にやられたらしい。無事だと、いいな。
｢メダル授与よ！今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人！！｣
｢私がメダルを持って来｣
｢我らがヒーローオールマイトォ！！｣
あ、かぶった。オールマイトちょっと悲しそう。
｢万能少女、おめでとう｣
首にかけられた、3位の銅メダル。
｢爆豪少年との試合の最後に、違う方の"個性"を使わなかったのは、何か理由があるのかな？｣
｢...今の自分に、自信が持てなくなりました。
ここにいる皆、夢のために頑張っているのに、こんな自分が恥ずかしくなりました。
私と皆の違いを、明確に感じ取ってしまって...
うじうじ悩んでいる私が、あそこでかっちゃんに勝ったとしても、かっちゃんに、皆に失礼だと思いました。
...あの、オールマイトは、私がヒーローになっても良いと思いますか？｣
バカだと思った。
今、それを聞いたところでしょうがないだろと、冷静な自分が言う。
何も知らないオールマイトに聞いても、自分は満足出来ないくせに。
けど、どうしても聞きたかった。
...安心、したかった。
｢...あぁ勿論！良いに決まってるじゃないか。
...大丈夫。いっぱい悩みなさい！そしていつか、自分でその答えを見つければ良い｣
そう言ってハグしてきたオールマイトに、私は｢はい｣と、小さく頷いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 39人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夢桜 | 作成日時：2019年3月20日 20時
