彼女は助けを求めない ページ9
緑谷side
まずい...本当にまずい。ワン・フォー・オール、僕はまだ調整できてない。
そう不安になっていると、
「デク...大丈夫？」
と僕を心配するAちゃん。
「えっ、あ...うん。え...いや...」
大丈夫、と言いたかったが、今の僕にそう言える自信はなく、なんとも情けなかった。
そんな心境の中、個性把握テストは始まった。
第1種目50m走。
僕とかっちゃん、Aちゃんの番になりラインで構えた。するとかっちゃんが、
「爆速！！」
と叫び、"個性"を発動。
「(パチンッ)」
僕らが走り出した瞬間Aちゃんはゴールに。 すると測定ロボが、
「0秒23！！！」
僕は驚きつつも走ったが、かっちゃんの"個性"の勢いでよろけ、スピードが落ちた。かっちゃんは、
「4秒13！！」
こちらもすごかった。それに対して僕は、
「7秒02！」
中学より縮まったものの、2人に比べると明らかに遅かった。するとかっちゃんが、
「Aテメェ！！そのやり方は反則だろーが！？」
「えっ..."個性"に反則も何もないでしょ...一応ちゃんと走ったし」
そんなやりとりを見ていると飯田くんが来てAちゃんを褒めていた。
「すごいな万能くん！一体何を？まるで瞬間移動だった」
「あ、えっと...私"個性"がその...『
でもやっぱ、0秒ジャストはムズイな」
と少し動揺しながらも答えたAちゃん。
彼女は自身の"個性"の話になるといつも動揺するそぶりを見せる。
といっても、普通だったら気づかない程度で、幼馴染みだからか何となく分かる。
僕は、彼女は何か隠しているんじゃないかと思っている。
かっちゃんもきっと同じ考えだと思う。僕と同じ考えなんてかっちゃんは嫌だろうけど...
僕らの思い過ごしかもしれないけど...彼女は何か抱えている。
他の人たちも、Aちゃんを褒めていた。
「すごいよ！0秒代なんてびっくり！！」
「あ、ありがとう」
だからと言って、僕は結局、何もできないんだ。
Aちゃんは誰にも、何も話してくれないから。彼女自身、誰にも助けを求めないし、僕やかっちゃんが聞いたとしても彼女は答えるつもりなんか無い。
けど、そんな彼女を守りたい。
なのに、何もしてあげられない僕は、何とも言えない複雑な心情を抱えるばかりだった。
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夢桜(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！！ (2020年4月6日 13時) (
レス) id: 92986b8ad8 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - めっちゃ続き気になります!!更新頑張ってください！ (2019年2月17日 21時) (レス) id: 3d5bc7771c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢桜 | 作成日時：2018年12月2日 16時
