彼の優しさ ページ42
「なぜ、今まで隠してきたんだい？」
オールマイトの質問に私は慎重に言葉を選びつつも答える。
「......幼い頃の私でも、この"個性"の恐ろしさは理解していたつもりです。
これが世間にバレでもしたら、きっと私はたくさんの人に迷惑をかけてしまう。
誰もが欲しがりそうな"個性"ですから...
だから、デクやかっちゃんにも内緒にしてきたんです。2人を巻き込むような真似だけは避けたかったから。
それに、今更言ったところで、離れてしまうんじゃないかと思って......
個性届けに嘘を書くような真似をして本当にごめんなさい。
法律的にもダメな事は承知です。
でも私は、これ以外に方法が思いつかなかったから...」
ま、半分本当で半分嘘なのだけれど。
全部を話そうと思えるほど私は単純な心ではない。
私は下を向く。
謝罪をしたところで、私がやった事は、罪に問われるような事だ。
でも、それを覚悟してでも、やらざるを得なかった。
私が、私であるためには。
許されるわけはないし、そう思ってもいない。
だけど私は、2人が何よりも大切だった。
小さい頃から私の側に居て、私の事を救ってくれたのはまぎれもない彼らだったから。
2人が居ない世界なんて、私は絶対に嫌なんだ。
私は、今を後悔するつもりはない。
すると、今まで黙っていたデクが口を開いた。
「Aちゃん。僕は、Aちゃんから離れてなんかいかないよ。たとえ、Aちゃんがそれを望んだとしても。
確かに、そりゃ"個性"の事は驚いたけど......AちゃんはAちゃんじゃないか。
Aちゃんが僕らのためを思ってくれてるように...
僕も、君を守りたいんだよ」
私がデクのあまりにも真剣な言葉を聞き、戸惑いつつも思考を巡らせていると、
「えっと、あ、そのつまり......僕は、Aちゃんの助けになりたいんだ。
今まで、Aちゃんには助けられっぱなしだったから...少しでも、Aちゃんの抱えているものを軽くできればいいな...って」
デクが、しどろもどろになりながらも一生懸命に伝えようとする姿が、なんだか嬉しくて、思わず笑みがこぼれた。
こういう風に、誰かの為になろうとするところは全然変わっていないんだなと思った。
「...ありがとう。デク」
デクは、優しすぎる。
私はそんな彼に甘えてばかりなんだ。それがとても申し訳なかった。
だけど、
「もう一つ、いいかな」
現実は、そう甘くない。
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夢桜(プロフ) - ありがとうございます！頑張ります！！ (2020年4月6日 13時) (
レス) id: 92986b8ad8 (このIDを非表示/違反報告)
Lily(プロフ) - めっちゃ続き気になります!!更新頑張ってください！ (2019年2月17日 21時) (レス) id: 3d5bc7771c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢桜 | 作成日時：2018年12月2日 16時
