風柱の愛した人は鬼に連れてかれて鬼と婚約したらしい

14【実弥side】 ページ15

善｢…Aさんからは苦しくて、とても切ない音がしていました。壊れてしまいそうなほど歪んだ心の音がしていました。今にも泣き出しそうな顔で…俺に…｣









実｢…｣









言葉が出ねぇ









なんだよこの喪失感









我妻の前で膝の力が抜けて崩れ落ちた









善｢あっだっ大丈夫ですか…！だっ、誰か呼んできます…！｣









我妻は走って行ってしまった









俺は動けないまま









ただ床を見つめることしか出来なかった









・









・









後からふつふつと怒りがこみ上げる









何が…






なにが幸せになって欲しいだよ…






ふざけんじゃねェ…A









実｢…くそっ……ざ…けん…な…。…ふざけんなあああああああああぁぁぁ！！！！！｣









何とか膝に力を入れて






俺は隊服も着ず蝶屋敷を飛び出そうとした









しのぶ｢どうしたんですか！不死川さん落ち着いてくださいっ｣









杏｢よもや！叫び声が聞こえたから駆けつけたが、不死川じゃないか！落ち着け！｣









運悪く胡蝶と煉獄に鉢合わせてしまった









煉獄に押さえられ身動き取らなくなってしまった









実｢離せ煉獄！！！あいつを殴らせに行かせろ！！！Aの野郎！ふざけたこと言いやがって！！！｣









杏｢落ち着け不死川！傷が癒えていないじゃないか！そのまま鬼に会えば死んでしまうぞ！｣









実｢そんなのどうだっていい！！！なんだよ！！何が愛していましただよ！！！勝手に過去形にすんじゃねェェ！！！俺は今でも愛してんだよ！！！｣









しのぶ｢不死川さん…｣









チクッと首元に痛みが走った









実｢…おいっ…何、した｣









しのぶ｢ここから出ることは許可出来ませんので、しばらく安静にしてくださいと言ったはずです。何があったかは分かりませんが、今は怪我を治してください。｣









意識が遠のいていく









ぼやける視界に血管の浮き上がった胡蝶の顔が見えた

15→←13【実弥side】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す