キセキの世代を筆頭に一人の女の子が愛される 第2試合

第68Q ページ18

〜A〜



雪が降ると日中でも寒いな


空き教室で雪を眺めながら白玉を食べるのは美味しくて楽しい


荒木監督がくれた雪もち白玉は冷凍保存するらしく、学校の冷凍庫に入れてた


ちょっと溶けたこの感じがいい


普段とは違う白玉食感



秋田って良いとこだなぁ


紫原｢雪は冷たいし冬は寒いけどね｣


手にいっぱいのお菓子を持った紫原くんは私の隣りに座った


｢あれ、声に出てた？｣


紫原｢うん｣


心の声が口に出ることは仕方ないとして、独り言が聞かれるのは恥ずかしいな


｢って、ダメだよ。授業サボったら｣


紫原｢Aちんだってサボってんじゃん｣


｢私は他校生だから｣


紫原｢えーー、意味分かんなーい。今は陽泉の生徒じゃん｣


｢それはそうなんだけど｣


紫原くんが授業に出たくないこじつけがすごい


ここにいたかったらいてもいいと思うけど、後で絶対怒られるよ


その時に共犯にされるのだけは勘弁


紫原｢食べる？｣


｢紫原くん。いつもこんなにお菓子持って来てるの？｣


紫原｢だってぇ、食べたくなるんだもん｣


｢学校には持ってこないほうがいいよ｣


なんでこれ、注意されないんだろ


カバンの中、勉強道具一切入ってないよ絶対


エネルギーチャージにしたって、いくら何でも食べ過ぎ


氷室さんが甘やかしてるのが原因の一つなのかも


紫原｢Aちんも好きなの食べていいよ。てかさぁ、それ、一口ちょーだい？｣


｢え、やだ｣


白玉さんは私が貰った時点で私の物


誰であっても、それこそ一口だってあげるつもりはない


紫原｢むぅ、ケチ｣


｢紫原くんはいつでも買いに行けるでしょ｣


紫原｢行くのめんどくさーい｣


まいう棒のためならコンビニ梯子するのに、白玉買いに行くのは嫌なんだ


私なら雨が降ろうが槍が降ろうが、命懸けてでも行くのに



秋田スイーツ雑誌をめくってると、ポテチをつまみながら紫原くんが覗き込んでくる


雑誌を真ん中に置くとちょっと驚かれた


｢見ないの？｣


紫原｢見る｣


どれも美味しそうなんだけど、白玉でもなければ観光客に人気スポットだ

それが悪いわけじゃないよ！？


ただ私の求めてるものとは違う


スイーツってなると京都が充実してる


頬杖つきながらダランとした目でページを追っていく紫原くんは覇気がなくて、今なら聞けると思った


｢ねぇ紫原くん。聞いてもいい？｣


紫原｢うん。いいよ｣


｢私のことさ、何でそんなに嫌いなの？｣

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