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菜々子「美々子!夏油様!外の並木道の桜が満開!」




美々子「本当?!やっとだね。」




夏油「今年は少し遅かったようだね。」











相手にもしたくない猿どものどうでもいい相談を解決させて休憩しようと戻れば、外から戻った菜々子が元気よく襖を開けた。




例年より少し遅かった開花宣言。
やっと満開らしい。

今年も桜の季節が来た。











_________君のいない11回目の春。











菜々子「美々子も夏油様も見に行こ!マジ綺麗!」




美々子「うん!」




『私はまだやる事があるからすまないが2人で見ておいで。』











どうでもいい猿の相手をさっさと終わらせ
裏から外に出ると菜々子の言うように満開の桜が視界を淡い色で染めている。




2人は遠くまで行ったのだろう、姿が見えない。











『本当は高専の桜に会いに行きたいが無理そうだな。
しょうがない。選択をしたのは私なのだから。




君がいたら、私のことをなんて言うだろうか。
怒るだろうな。

でもA、君を失ったようにこの世界に呪霊も呪霊を生み出す猿もいらない。











桜を見るとAを思い出す。




Aに会いたくなる春は好きじゃない。
君が好きだった夏が私も好きだ。もう少しでやってくるよ。』











菜々子「あ!夏油様ー!!これあげる!」




美々子「菜々子とこの花買ったの、綺麗だったから。
夏油様にあげたくて。」




『ありがとう、菜々子美々子。




······カタクリ、か。』




菜々子「そう!綺麗でしょ!」











『嗚呼、とても綺麗だ。』











いきなりこの世界から消えた君は

カタクリのように儚かった。








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作者名:ビー玉 | 作成日時:2022年1月27日 12時

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