月がきれい。2 [ Ren.M ] (ページ19)

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A side

覚えてないかな

半分そう思いながら聞いたのに

｢リストバンド｣
と即答された。

｢覚えてるんだ｣
｢覚えてるよ、ずっと使ってるし｣
｢今も使ってるの？｣
｢使ってる｣

蓮はバックの中をあさって
小さい巾着を出した。

中に入ってるのは
スポーツブランドが刺繍された青いリストバンド。

｢持ち歩いてるの？｣
｢いや、今日はたまたま。
サッカーの試合とかでも付けてたし
今もリハの時に使ってる｣

もう何年も経つのに
持っててくれてることが嬉しい。

｢俺デビューすることも夢だったけど
Aに会うことも夢だったんだよね、
正直、無理なんだろうなって
思ったこともあったし
Aが違う誰かと付き合って
結婚してる可能性だってあったし、、、
でも両方叶ってAとこうやって
懐かしい話が出来る日が来るなんて
思ってなかったわ｣

蓮はリストバンドを大事そうにしまって
私の手を握った。

｢いつになるか分かんないけど
Aが無事退院出来たら
デートしよ？｣
｢いいの？｣
｢うん、しよ、絶対｣

私は笑顔で頷いた。