愛を謳え【刀剣乱舞】 (ページ4)

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君の瞳を見れるならページ4

同刻、部屋の片隅の、日も当たらない、影が差した場所で燭台切光忠は恐怖に怯える幼子のように体を丸め、体育座りをしながら震えていた。

そして自分にしか聞こえないような声でぶつぶつとぼやく。
なぜか金色の瞳は湖に波紋ができたようにゆらゆら揺れている。

暫くして、燭台切の隣に誰かが座った。
燭台切は顔を上げ、隣の人物を確かめる。

「……伽羅ちゃん。」
「また泣いていたか、光忠。いい加減毎日泣くのはやめろ。」

「…伽羅ちゃんだって、人の事言えないでしょ？」
「……お前ほどじゃないさ、おれは。」

そう、大俱利伽羅と燭台切のと目元は赤く腫れていた。

「やっちゃん、いつ起きるかな。」
「…………さぁな。俺の知ったことか。」
「せめて、新しい審神者が来るまでは起きないで、いてほしい…。」
「……そうだな。もう、あいつにはああなってほしくない。」

燭台切は、上げた顔を下に戻しまた涙を流し始めた。
大俱利伽羅は、こぼれ出そうな涙を流さないように外を眺める。

いつだって二人の前には彼がいた。

いつだって優しい彼は、強く美しかった。

いつだって彼は二人を優しく抱き締めた。

『ごめん、ごめんね二人共。

僕なんかの為に辛い思いをして、こんな傷だらけになって。

……嗚呼違うんだ、そんな顔をさせたかった訳じゃないんだ。

二人が、ここのみんな(刀剣男子())が笑顔になってくれれば、僕はこの上ないくらいが幸せだから、ね？泣かないで？

ほら、こっちおいでよ。』

あの時童子切が包んでくれた温もりが今でも忘れられない。

あの時包んでくれた童子切の優しい香りが今でも忘れられない。

そして何より、あの時の童子切の、聖母のように優しい、蛋白石(オパール())の瞳が忘れられない。

そして静かに自分たちがプレゼントした蝶の形をした月長石(ムーンストーン())と、濃い水色のタッセル付のピアスが揺れていたのを覚えてる。

「光忠、俺は童子切の目をまた見れるなら、また童子切に微笑まれるなら、本体を折ったって構わない。あいつに触れられるのなら、俺はなんだってやる。こんな考えはおかしいか？」

「…僕だって、やっちゃんがまた僕たちを優しく見つめてくれるなら、抱き締めてくれるのなら、両目が抉れても本体が折れても構わないよ。ちっともおかしくなんてないよ。」

二人の目は奥まで濁っていた。