愛を謳え【刀剣乱舞】 (ページ7)

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何を求むるページ7

同刻、鶴丸国永は、童子切が特別に所有していた中庭に一人でいた。

色とりどりの花や野菜の香りが風に乗り、そこにいた人物の体を優しくなでた。

「もうすぐ夕餉だ。戻ろう、三日月、数珠丸。」

「あなや、ばれていたか。其方ではないが驚きだな。」
「全くです。もう少しここにいたかったのですが。」

鶴丸は呆れ顔をしながら後ろを振り向いた。

案の定後ろの二人は真意が分からない笑顔を浮かべていた。

「数珠丸、元々ここは童子切の畑だ。君のではないんだぞ。」
「分かっていますよそんなこと。もう少しあの方の香りを楽しんでいたかっただけです。」
「……流石天下五剣達といったところか？同じ彼に依存している俺でも怖いぞ。」
「お褒め頂き光栄です。ねえ三日月殿。」
「ははは、そうだな。」

そう、この本丸内の全刀剣は、童子切に酷く依存、執着し、溺れ死ぬ程の異常な愛を注いでいる。

中でも同じ天下五剣組は群を抜いて彼を愛していた。

「じゃあ俺は先に戻っているぜ。光坊と歌仙が言ってたが、今日の夕餉は童子切の好物ばかりらしいぞ。だから早く戻るんだな。」

「分かっています。」

鶴丸が去った後、二人は花畑の中に静かに立っていた。
一言も喋らず、ただ立っていた。

「……ここにいたか、もうお前ら以外揃っている。早くいくぞ。」

「これはこれは、大典太殿。わざわざありがとうありがとうございます。」
「フン、どうせなら俺も呼べばよかったものを…」
「おや、大典太殿は案外嫉妬深いようだ。」

言葉だけを取ればだけ普通の会話かもしれないが、その光景を見ると誰もが腰を抜かすだろう。
三人が醸し出す雰囲気は、最早手遅れな程狂っていた。